『後輩に負けぬ活躍を!神宮で魅せろ、その強肩ぶりを』
8月27日に『第六回TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会』が行われます(読まれたタイミングではすでに終わっているかもしれませんが…)。
亜細亜大のリーグ5連覇で幕を閉じた春季リーグ戦を振り返り、山田と高木さんの予想順位答え合わせなどをお送りいたします。ゲストには桐蔭横浜大学硬式野球部・齊藤博久監督をお迎えいたします。
さて今回は、前回のTOHKENで注目選手とお伝えした、あの強肩キャッチャーをご紹介します。昨日、惜しくも決勝で敗れましたが、甲子園準優勝に輝いた三重高のOB選手です!
●苦手だったバッティングを乗り越えて
1部最下位に終わりながらも、入れ替え戦で2連勝し、残留を決めた青山学院大。正捕手を務める加藤匠馬(4年・三重)は何と言っても盗塁を刺せる強い肩が魅力的だ。だが、その一方でバッティングにはやや物足りなさが残る。これには本人も「打撃はだいぶ課題です」と認めている。
2013年春からスタメンを勝ち取ったのだが、このシーズンは打率がリーグ最下位の1割5厘。任される打順といえば9番だった。
「やっぱり木のバットになってからは芯で捉えないと飛ばないんです。金属バットは力を入れれば飛ぶんですが」
秋には後輩の猪又弘樹(3年・千葉経大付)にスタメンマスクを代わる試合もあったが、安打数は春の倍だった。加藤にとって実質2季目のシーズン、明らかに春よりもバッティングがよくなっている印象を受けた。
▲バッティングも期待したい秋季リーグ。足も遅くはない
今春はもっとそれが顕著だった。
開幕から3試合はヒットが生まれなかったが、徐々に調子を上げて順位決定プレーオフでは6番に抜擢。この試合は無安打に終わったが、加藤に込められた期待の高さがうかがえた。
その反面、加藤にバッティングが好調になったと向けても「そうですか?」と手応えはない様子。だが「バットが遠回りしていたので、上から叩く意識を持ちました」と教えてくれた。
これまではバッティングにやや難があったため、代打を出されることもあった。強肩という大きな武器がありながら、それを完全に生かし切れないのはもったいなかったが、これだけの結果が残せればその心配もなくなる。加藤の活躍は守備だけに限らず、バッティングにも大きな期待が持てるようになった。
▲ラストイヤーは捕手・加藤だけでなくバッターとしても注目したい
●自慢の肩ゆえに……
その一方で今春、こんなシーンがあった。
無死一塁で相手チームはバントを選択。打球はやや強く転がったが、セカンドフォースアウトのタイミングは微妙だった。
だが、これを捕球した加藤は迷いもなく二塁に送球。思わずうなってしまうほどのまさに矢のような送球だったが、これが野選となり、無死一、二塁。その後は犠打と犠飛で先制点を奪われてしまった。
試合後、相手チームの捕手は「自分だったら(二塁には)放らない」と言って続けた。
「加藤だから投げたんだと思います。『(肩が強い加藤は)放りたがりだから、最後まで緩めるな』と言っていた。全力疾走を徹底した結果です」
自信があるからこそ起きてしまったプレーだった。もちろん、あくまでも結果論だし、これが二塁アウトだったら大ファインプレーだと称えられたと思う。難しいプレーだったことは間違いないが、相手はそれを見越して指示を徹底し、それが奏功した。それは紛れもない事実だった。
「生きるか死ぬかの戦いを経験できて、チームも成長できた」
入れ替え戦で残留を決めた後、こう語っていた加藤。個人としてもチームとしても厳しい春のシーズンで得た経験を生かして、秋に臨んでほしい。
▲守備から引き上げる際は、ほぼ毎回ピッチャーとグラブタッチを交わす加藤
☆桐蔭横浜大・齊藤博久監督(日本大OB)をゲストに迎えるトークイベント『第六回TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会』を8月27日(水)に開催!
詳細はこちら⇒
https://www.facebook.com/events/356508887836545/ (『野球太郎』のFacebookページより)
日本でもっともハイレベルな選手たちが全国から集まると言われる東都大学リーグについて語り合いましょう! もちろん、はじめての方にもわかりやすくイベントは進行していきますので、お気軽に参加してください。大学野球の監督とお話できる機会は滅多にないはず!
前回のTOHKENの模様はこちら
■ライタープロフィール
山田沙希子(やまだ・さきこ)/東京都出身。早い時期から東都大学リーグの魅力にハマり、大学生時は平日の多くは神宮球場または神宮第二球場に通い詰めた、三度の飯より東都大学リーグが好きなライター。多くの東都プレイヤーの取材を通して、さらに東都愛は加速。ナックルボールスタジアム主催のイベント「TOHKEN〜東都大学リーグ野球観戦研究会〜」でも活躍。
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