≪特定チームへの相性≫
首位快走の広島は大きな弱点はなし! 強いて挙げれば、序盤は先発陣が手薄だったが、コンディション不良で離脱していたジョンソンが復帰し、徐々に調子を上げてきている。5月末から先発転向の薮田和樹も順調な滑り出し。野手陣も好調でシステマチックに起用できており、死角はないように見える。
ただし、勝敗の内訳はやや不安。Bクラスには大きく勝ち越しているが、2位阪神、3位DeNAには5勝6敗で黒星先行。広島のCS進出は確実だろうが、相手によっては難しい戦いになることが予想される。
≪下降線のクリーンアップ≫
スタートダッシュの貯金を吐き出しつつある阪神。6月下旬から7月頭にかけては8連敗を喫したが、後退の要因は打線の湿り気だろう。3月・4月は.243、5月は.249だったチーム打率が6月は.227に落ち込んだ。
3番・糸井嘉男、4番・福留孝介ともに出塁率は高いものの、打率は糸井が.268、福留が.255。本塁打数もともに1ケタとやや物足りない現状になっている。次いで5番も流動的だ。中谷将大、原口文仁、大山悠輔らが起用されているが、起爆剤になるほどのブレイクは果たしていない。勢いがなくなってきた原因はココだろう。
≪勝利の方程式≫
着実に戦力が整いつつあるDeNAだが、圧倒的に足りないのは確固たるセットアッパー。山崎康晃が守護神に復帰し、好成績を残しているが、山崎へのつなぐ人材が手薄。三上朋也、加賀繁あたりの発奮に期待したい。
≪先発陣≫
借金を返済しつつある中日だが、なかなか調子が上がってこないのは先発陣。ようやくエース・大野雄大が3勝目を挙げたが、バルデスとジョーダンの助っ人2人に頼りきり。若松駿太や吉見一起は不振で2軍落ちしたきり帰ってこない……。小笠原慎之介や鈴木翔太ら、さらなる若手の突き上げがほしいところ。
≪二塁手・左翼手≫
スタメン大混乱で13連敗を喫した巨人だが、その主因は二塁手が固定できていないことだろう。連敗中にクルーズを昇格させたことからも、首脳陣にその自覚があるのは見て取れる。ようやく2年目の山本泰寛が定着しそうだが、乗り切れない中井大介への未練も見え見え。中井は左翼へ移ったが、そもそも左翼も流動的で中井は左翼と二塁で併用されている。中井を我慢強く使うならば、大田泰示をトレードで出さずに左翼に固定する手もあったはずだ。
≪ケガ人≫
巨人の不調の裏でひっそりと負け続けているヤクルト。投壊は予想通りだが、今年も漏れなく「ヤ戦病院」化。畠山和洋、川端慎吾、雄平が不在で新外国人のグリーンも打率1割台で、現状期待はずれ。緊急補強したリベロが打線再建のカギを握る。
文=落合初春(おちあい・もとはる)