投手5名、野手3名と、大量のロッテ選手が侍ジャパンに選ばれた第1回大会。その中でも特に注目したいのが、西岡剛(現阪神)、今江敏晃(現楽天、今季から登録名を「今江年晶」に)、里崎智也(現解説者)だ。
西岡は2003年の1軍デビューから徐々に出場機会を増やしていき、2005年に盗塁王(41個。当時21歳でパ・リーグ最年少記録を更新)を獲得するなどブレイク。また、遊撃手としてベストナインに選ばれ、二塁手としてはゴールデン・グラブ賞を受賞するなど、一躍、プロ野球ファンにその名を広めた。
今江も西岡と同様に2005年に一皮むけた選手で、自身初の打率3割(規定打席超)をマークし、リーグ最多の二塁打(35本)を放つなど活躍。圧巻だったのは阪神との日本シリーズで放った8打席連続安打で、最終的にはシリーズ通算打率.667をマーク。シリーズ記録を塗り替え、MVPも獲得した。
2005年の里崎は橋本将(引退)との併用で、シーズンこそ94試合の出場に留まったが、ソフトバンクとのプレーオフ・セカンドステージで大活躍。第1戦で同年の沢村賞投手・杉内俊哉(現巨人)、第4戦で和田毅から本塁打を放った。さらに第5戦では、ビハインドの場面で逆転の適時二塁打を放つなど勝負強い打撃を連発した。
当時、ソフトバンクと第1回大会の侍ジャパンの両チームの監督を務めた王貞治監督からしたら、「自分が率いるチームを下して日本一になったロッテの選手を選ばずして誰を選ぶのか」という心境だったのだろう。
それだけ、2005年の3選手の活躍ぶりは鮮やかだった。
牧田和久(西武)に受け継がれる“侍ジャパン・変則投手枠”の元祖・渡辺俊介(元ロッテ・現新日鐡住金かずさマジック)。2005年にキャリアハイの15勝(4敗)を挙げて第1回大会の侍ジャパンに選ばれると、2試合に先発するなど自身の役割を果たした。
しかしWBCの影響か、2006年は5勝11敗と黒星が大幅に先行。2007年は9勝(6敗)と持ち直したが、変則投手枠があるとはいえ、2大会連続で侍ジャパンに入るためには、まだワンパンチ足りない……。
そういった雰囲気を感じ取ったのか、2008年は見事に巻き返してみせた。キャリアで2番目に多い13勝を挙げ、第2回大会への招集がかかった。
気持ちよくWBCに出場するためには、「周囲はもちろん自分も納得させる成績を挙げることが大事」ということがよくわかる発奮ぶりだった。
2012年に独立リーグ出身者として、初のタイトル(首位打者)とベストナインに輝いた角中勝也。
この活躍を受けて、同年のキューバとの親善試合で初の侍ジャパン入りを果たすと、1試合目に7番・左翼として出場。1安打、1得点を挙げた。
そのまま侍ジャパンのメンバーとして2013年の第3回大会にも参加。5試合(スタメン3試合)で9打数1安打と振るわなかったが、「WBC前年に活躍して侍ジャパン入り」というバトンはしっかりと受け継いだ。
1月24日、侍ジャパンの第2弾のメンバー発表が行われ、第4回大会へ挑むメンバーに(無事?)石川歩が選出された。現時点ではあと1名の枠が空いているが、ロッテから選ばれたのは石川のみ。この瞬間、辞退するようなことが起こらない限りロッテ選手の4大会連続WBC参加が決定した。
石川は2013年ドラフトで社会人(東京ガス)出身の即戦力投手としてドラフト1位で指名され、ルーキーイヤーから3年連続2ケタ勝利(10勝8敗、12勝12敗、14勝5敗)を継続している幕張のエース。それだけに、選ばれて当然という向きもある。
しかし、選出を確実にするかのように、昨季は自己最多の勝ち星・14勝に加え、初タイトル(最優秀防御率)も獲得。WBC前年に現時点でのキャリアハイを叩き出す石川から、あらためてロッテに流れる「前年に活躍してWBCに臨む」DNAを感じた。
見事なまでにWBC開幕と好成績を挙げるタイミングがリンクしているロッテ選手たち。意識してできるものではないとはいえ、こうまで重なっていると、「ロッテ経由侍ジャパン」という言葉を広めたくなってくる。
2021年の第5回大会は、どの選手が「ロッテ経由侍ジャパン」のタスキを受け継ぐのだろうか。これから第4回大会が始まるところではあるが、もう4年後のことが気になって仕方ない。
文=森田真悟(もりた・しんご)