今年のプロ野球も2カードが終了。パ・リーグはどこが抜け出すかわからない団子状態のスタートで、面白いペナントレースがしばらく楽しめそうだ。……と言っても、2チームに分けた方がいいのではないかと思えるほど充実した戦力を誇るソフトバンクがいつか抜け出す可能性が高い。その他5球団の首脳陣や選手たちは、その時がなるべく遅くなり、なんとかこの状態を続けて、ソフトバンクを慌てさせたい、というのが本音だろう。
中でも、昨年、ソフトバンク以上の大補強をしながら大コケしたオリックスは、この団子レースをなんとか制して、悲願の優勝を叶えたいところだ。なにせ、関西の名門球団を買い取った年が同じで、身売り後の初優勝はオリックスが先。一時は身売りの成功例と失敗例の典型に挙げられながらも、現在は立場が逆転。苦肉の策として、球団合併をしたものの、新生球団の初優勝は「残りもの」を集めた楽天に先を越されてしまう始末。そしてパ・リーグで最も優勝から遠ざかった球団になったのだから。
名門・阪急ブレーブスの球団譲渡以来、すでにチームは3回名を変えている。この流浪の歴史の中、指揮官は外部招聘が中心で、真の意味での生え抜き監督はついに出てこなかった。思えばオリックスが球団を保有してから30年近くになる。その中で初めての生え抜き監督の誕生だ。現役時代の印象そのまま、壇上に立った福良淳一新監督のコメントは雄弁というにはほど遠い地味なものだった。しかし、それが福良という男の指導力と比例しているわけではない。その証拠に激励会の第2会場でのトークショーでは、新監督に惚れ込んで、「2軍監督を引き受けた」というのは元メジャーリーガー・田口壮。「福良さんには10年後、いや100年後まで監督をしてもらいます」と怪気炎を上げていた。
福良政権の本格発足に際して、チームに復帰した、これまた生え抜きの小林宏投手コーチ。
「昨年はケガが多かったですから。それと今年は新外国人選手が打つんですよ」
と今年のメンバーに期待をかける。
その言葉通り、実績十分のブランコを押しのけて開幕スタメンを勝ち取ったモレル、ボグセビックの両外国人選手は打線の核となって活躍している。その一方で、オープン戦のピッチングが認められ、クローザーを任されたのはコーディエ。開幕戦では1点差をひっくり返されサヨナラ負け。その後の2度の登板ではセーブを記録したものの、4月6日の楽天戦は1点を追いかける9回に登板もウィーラーにダメ押し2ランを打たれた。
「ストライクが入るかな? っていうのが心配だったけど、それも大丈夫」
と小林コーチが開幕前に語っていたものの、結果は四球から崩れる場面が目立ち、不安が的中。7日に出場登録が抹消されてしまった。ただ、安定した投球ができれば、期待しているのは事実。再び1軍のマウンドに戻ってきた時、安心して9回を任せられるようになれば、オリックスは怖い。