何が起こるかわからない高校野球!最大逆転は何点差?甲子園での壮絶な“打ち合い”列伝!
各校が深紅の優勝旗を目指し、熱い戦いが続く甲子園。今年は開幕試合で鹿児島実が18−4で北海を撃破すると、それを皮切りに各校の自慢の打撃陣が牙を剥き、打ち合いになる試合が多い印象だ。
第2日の東海大甲府対静岡も7回までに両チームが7点を入れ合う打撃戦となり、最終的には8回に東海大甲府が1点を加え、8−7で勝利した。
また、2回戦が始まっても今年のゴリゴリの打ち合い路線は健在で、関東一と高岡商の1戦では、3回の時点で関東一が8−0でリードし、「勝負は決した」と誰もが思った。しかし、4回表に高岡商が打者一巡で7点を返すと、ついに5回に追いつき、結果を見れば12−10で関東一の辛勝となった。
大会第8日の第3試合、九州国際大付と大阪偕星の試合も打撃戦マニアが歓喜。8回まで山本武白志【写真】の2打席連続など、本塁打が4本も飛び出し、9−9と激しい打ち合いを展開。9回裏にエラーとパスボールで塁を進めた九州国際大付が10−9でサヨナラ勝ちを収めた。
バカスカの打ち合いは、応援している学校であればヒヤヒヤものだが、中立的な高校野球ファンにとっては特上のご馳走。今回、歴代の甲子園から高校野球ファンを熱狂させた壮絶な打撃戦をプレイバックしてみよう。
◎1998年夏・1回戦
市船橋17−10文徳
市船橋が甲子園史上最大となる8点差を大逆転した試合。序盤から文徳打線が爆発、市船橋の守備の乱れにもつけ込み、3回表の時点で、[文徳 9−1 市船橋]と差を広げたが、3回裏から市船橋が猛攻を開始。3回裏と4回裏で6点を返して2点差に詰め寄ると、6回裏に一挙10得点で大逆転。
史上最大の逆転試合であるが、終盤が引き締まったゲームになったこともあり、意外と忘れ去られている1戦だ。
また、昨夏の甲子園では大垣日大が藤代と対戦し、1回表に入れられた8点をじわじわと返し、12−10で勝利する最大逆転タイとなる打撃戦を演じている。
◎2006年夏・準々決勝
智辯和歌山13−12 帝京
「魔物は二度笑った」。そういわれる大興奮の逆転劇となったのがこのゲームだ。この年は駒大苫小牧・田中将大と早稲田実業・斎藤佑樹が決勝戦で壮絶な投げ合いを見せた年。各校が「打倒・田中」を掲げ、打撃強化に力を入れていた。さらには強打が売りの両校だけに打撃戦となる見方が強かった。
その予想通り、8回裏が終わった時点で[智辯和歌山 8−4 帝京]。智辯和歌山が4本の本塁打攻勢を見せ、打ち合いを制したかに見えた。
しかし、9回表、帝京は2死一、二塁からなんと6連打の一挙8得点で大逆転。[帝京 12−8 智辯和歌山]とゲームをひっくり返した。この時点で伝説となる大逆転劇だったが、ドラマはまだ終わらない。9回裏、本職の投手がいなくなった帝京に智辯和歌山が襲いかかる。この日、5本目となる本塁打で1点差に詰め寄ると、さらにストライクの入らない帝京投手陣を攻め立て、ついには押し出し四球で逆転サヨナラ勝ち。
9回に両軍が4点差をひっくり返し合う、どんでん返し合戦に高校野球ファンもひっくり返った。
トレーニング技術の向上、筋トレの強化、バッティングマシーンの普及などで打力がますます増している高校野球界。今年は荒れがちな展開が多いだけに、準々決勝以降も目が離せない試合が増えてきそうだ。
(文=落合初春)
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