『球児よ、ボウズ頭を誇れ』　衛藤美彩の忘れられない夏

2015/3/24

　先週から始まった、「日本一可愛い高校野球ファン」との呼び声もある乃木坂46・衛藤美彩さんのインタビュー連載。前回は、その兄弟愛と、そこから始まった高校野球好きの原点を熱く語ってもらった。そして今回は、高校球児にどうしても伝えたいメッセージがあると切り出した。

衛藤美彩（えとう・みさ）・・・1993年1月4日生まれ。大分県出身。身長162cm。ミスマガジン2011グランプリに輝いた後、乃木坂46の一期生オーディションに合格。輝かしい経歴で加入するも、7thシングル『バレッタ』で初めてシングルの選抜メンバー入りを果たすなど苦労人の一面も持つ。最近では選抜メンバーに入ることが多く、バラエティ番組でも存在感を放っている。「日本一可愛い高校野球ファン」との異名も持ち、今回の連載で満を持して『週刊野球太郎』に初登場！

球児よ、ボウズ頭を誇れ！

衛藤　私、お兄ちゃんの影響で男性の髪形ではボウズが好きなんです。

――でも、ボウズが嫌で野球辞めちゃう子もいますよね。

衛藤　私はボウズ、ウェルカムです！　私の友達に、ボウズにするのが嫌で野球を辞めちゃう子もいましたけど、“何をバカなこと言っているんだ”と（笑）。そんなことで野球を辞めないでほしいです。ボウズが好きな女の子だっているんだから、恥ずかしがらないでほしい。

――アイドルのインタビューでこんなに「ボウズ」って言葉が出るのは異例ですよ（笑）。

衛藤　お兄ちゃんのボウズ頭を触るのが好きだったんです。後ろから触るとペタッとしちゃうんですけど、前から（おでこの方から）触って、ザラザラした肌触りを感じるのが好きなんです！　“やめろよー”なんて嫌がられてましたけど（笑）。

あの時の甲子園にタイムスリップしたい

　前回、お兄さんの高校野球最後の試合を「高校野球がより大好きになったきっかけ」と話した衛藤さん。その他にも、心に残る名勝負があるという。


2009年夏／準々決勝・花巻東（岩手）vs明豊（大分）

　菊池雄星投手（現西武）擁するセンバツ準優勝の花巻東と、センバツ2回戦で花巻東に0−4と敗れリベンジを期していた今宮健太内野手（現ソフトバンク）擁する明豊の戦い。花巻東が先行するも、試合途中で菊池が腰の故障で降板。すると流れが変わり、明豊が逆転した。

　しかし、花巻東は最終回に追いつき、延長戦に勝ち越して7−6で勝利。敗れはしたが9回サヨナラのピンチでマウンドに上がった今宮も、菊池と並ぶ同大会最速タイ、仙台育英の佐藤由規（現ヤクルト）に次ぐ、歴代2位の154キロを2度もマークするなど、大きなインパクトを残した。

衛藤　今宮さんが高3の時に私は高1で、学校が終わった後に、友達とガーッと自転車を漕いで、新大分球場に行って、試合を見ていたんです。その明豊が甲子園に行って、それはもうすごい試合をしたじゃないですか。今宮さんもビュンビュン凄い球を投げるし。だからもう、ベストゲームは花巻東vs明豊ですね！
　やっぱり地元・大分ってことで親近感もありましたし、ベスト8まで大分の代表校が行くこともなかなか無いですから。

――そのゲームは、当時花巻東の千葉祐輔捕手（現ヤマハ）や猿川拓朗三塁手（現日立製作所／投手に転向）もベストゲームと言っていました。“雄星だけじゃないことを見せられたから”って。

衛藤　わあ、鳥肌立った。甲子園でたくさん勝った花巻東でもそうなんですね。泣けちゃいますね。


2006年夏／決勝・早稲田実（西東京）vs駒大苫小牧（北海道）

　夏3連覇を目指す駒大苫小牧のエース・田中将大（現ヤンキース）と決勝で対するのは、大会中に「ハンカチ王子」として人気が急騰した斎藤佑樹（現日本ハム）を擁する早稲田実。互いに譲らぬ投手戦は、延長15回を持ってしても決着がつかず、1−1で引き分けに終わった。翌日に行われた再試合では、早稲田実が4−3と逃げ切り、優勝。2日間で24イニング、5時間33分におよぶ死闘。そのラストシーンが、田中将大から斎藤佑樹が三振を奪った、ということも印象的だった。

▲田中将大（当時駒大苫小牧）


衛藤　あとは田中将大さん対斎藤佑樹さんの投げ合いですね。あの時は兄がちょうどリトルシニアに入ったぐらいで、私が野球に興味持ち始めた頃だったので、凄く印象に残っています。
　私は田中将大さんが勝つと思っていたのですが、最後はああやって三振で終わって。凄かったですよね。あの場にいたかったですけど、テレビの前からでも、その熱気が伝わってきたので凄いなあと。
　今、時を戻せるなら、あの時に戻ってあの試合を現地の甲子園で観たいです。


次回予告「高校野球と乃木坂46と私」
やや無茶ぶりかとも思われた「アイドルと高校野球の共通点」を衛藤さんにぶつけると、そこから衛藤さんの決意や、高校野球愛がより一層見えてくることに……。

企画原案及びキャスティング(取材協力)：柳川貴裕

インタビュー：高木遊（たかぎ・ゆう）／1988年、東京都出身。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動開始。大学野球を中心にアマチュア野球、ラグビー、ボクシングなどを取材している。高木遊の『熱闘通信（http://www.plus-blog.sportsnavi.com/buaka/）』は随時更新中。Twitterアカウントは@you_the_ballad（https://tiwitter.com/you_the_ballad）