大引がスタメンを外れた7月6日、遊撃のスタメンは谷内亮太が務めた。今シーズンの谷内は開幕1軍を勝ち取ると不振の西浦に代わり、序盤から三塁で試合に出場。藤井亮太と併用されていたものの、レギュラーを掴むには至らなかった。
7月6日は、今シーズン3試合目となる遊撃手としてのスタメンだったが、4打数ノーヒット。2つの見逃し三振といいところがなく打率.198と2割を下回ってしまう。翌日以降、谷内の出番はなく7月9日に2軍降格。巡ってきたチャンスをものにすることができなかった。
谷内に代わりチャンスを与えられたのは、大引が登録を抹消された7月7日に2軍から昇格した西浦だった。西浦は開幕三塁でスタメン抜擢されたものの、打撃不振もあり交流戦中に2軍降格。大引の離脱で再びチャンスが巡ってきた。
しかし、7月7日、8日の2試合にスタメンで起用されたものの6打数無安打、5三振と結果が出ず、2試合目の途中で代打を送られている。西浦は三塁、遊撃ともにレギュラー争いから脱落した格好だ。
谷内、西浦と結果が残せないなか、続いてスタメンに起用されたのは2年目の若武者・廣岡大志だった。
廣岡はファンからも最も期待されている次世代のレギュラー候補だ。プロ1年目の昨シーズンは三浦大輔(DeNA、引退)から初打席初本塁打を放つ派手なデビューを飾り、全国の野球ファンにインパクトを与えた。今シーズンもすでにイースタン・リーグトップの12本塁打を放つなど、近々の開花を予感させる打棒を見せている。
しかし、その廣岡も7月9日、10日の2試合で7打数1安打、3三振と結果を残すには至らず。スタメン定着とはならなかった。
そして7月11日、この廣岡の後にチャンスが与えられたのは奥村展征だった。奥村は2015年に、FAで巨人に移籍した相川亮二の人的補償としてヤクルトに移籍。昨シーズンは、由規の復帰登板となった7月9日に1軍デビューを果たしていた。今回、プロ初スタメンを手にした奥村も今後、遊撃争いに加わることになりそうだ。
また、荒木貴裕も途中交代で遊撃のポジションに就くなど、ヤクルトはここまで12球団最多の6人を遊撃手で起用している。大引のケガで混迷を極めるポジション争いだが、誰がチャンスをものにしたとしても消去法ではなく、実力でスタメンを勝ち取ってほしい。
今シーズン、ヤクルトの優勝は極めて難しい。そんな状況のなかで楽しみなのは若手の活躍、将来を見据えた選手起用だ。もちろん上位進出を目指して戦ってもらいたいが、育成を行いながら、来シーズン以降の足がかりとなるような後半戦になることを期待したい。
(成績は7月11日現在)
文=勝田聡(かつた・さとし)