昨季後半は強力打線に火がつき、近年の不振を乗り越えた印象のある西武。しかし、大きな問題を抱えている。そう、牧田和久とシュリッターの退団だ。
昨シーズン、牧田は58試合、シュリッターは64試合に登板し、2人で計161回1/3、60ホールドを記録した。勝利の方程式を担ったことはもちろんだが、シーズンを通してみるとリリーフでイニングを稼いだともいえる。
守護神・増田達至につなぐ「新・勝利の方程式」はどうなるのか? 2人に続く主なリリーフを昨季の登板数順に並べてみた。
■武隈祥太
58登板:13ホールド/防御率3.14
■平井克典
42登板:4ホールド/防御率2.40
■野田昇吾
38登板:1ホールド/防御率1.98
■大石達也
20登板:4ホールド/防御率0.93
20登板以上はこの4人。特にいい働きをしたのは武隈祥太だ。ただ、先発陣では野上亮磨が巨人にFA移籍し、さらに左腕が手薄ということもあり、キャンプから先発転向も視野に調整を進めている。
そのほか、平井克典、野田昇吾、大石達也も好成績を残しているが、これまでの実績で判断すると「8回」を任せられると言い切るには、まだ不安が残る。「8回の男」が固まれば、6、7回を任せるには十分な戦力だ。
そこで「8回」の第一候補は新助っ人のワグナー。経験豊富な34歳だ。速球派の右腕でキャンプからしっかりと調整を進め、早くも150キロ超をマークしている。パワフルな投球を見せており、現時点ではまずリリーフ陣の勘定に入る出来だ。
トミー・ジョン手術から復帰の高橋朋己も状態が上がってきた。小石博孝も高評価を得ており、トレードでは阪神から榎田大樹も加入した。リリーフ左腕は充実の一途だ。
エース・菊池雄星のメジャー志向を考えると、武隈の先発転向は「先の穴を埋める手」になるかもしれない。
中継ぎの上位2人が抜けた西武だが、人材は十分に見える。彼らの「期待以上」の活躍があれば、穴から希望の光が差し込む展開になりそうだ。
文=落合初春(おちあい・もとはる)