好素材だらけの大阪桐蔭でエースナンバーを背負う柿木蓮。2年春から大阪の強豪校と互角に渡り合い、昨夏は甲子園で仙台育英を相手に8回まで5安打無失点の好投を見せた。
最速は147キロ。この秋もチームを近畿大会優勝に導き、昨夏の「ここに戻ってくるので砂はいらない」の言葉通り、来春のセンバツ切符を手中に収めた。課題はスケールアップと安定感。大台の150キロに乗せれば、間違いなくドラフト上位候補に浮上するはずだ。
同じく大阪桐蔭では190センチ左腕の横川凱もドラフト候補。
センバツ出場をほぼ確実にしたチームでは、明治神宮大会を制した明徳義塾のエース・市川悠太にも注目したい。今秋の高知県大会初戦から明治神宮大会決勝までの10試合を1人で投げ抜いたスタミナもさることながら、最大の魅力は「本格派」のサイドハンドだということ。右打者にとっては背中から最速145キロのストレートが飛び出てくる。高校生サイドハンドにありがちな非力さはまったくない。
力みのない投球ができればプロでもリリーフの即戦力になれそうな逸材。春の投球を楽しみに待ちたい。
順調に春を迎え、来年にさらなる成長を遂げればドラ1まで見えそうなのは田中法彦(菰野)。1学年上には今年のドラフトで広島に育成1位指名された岡林飛翔がいたが、田中も負けず劣らずの投球でスカウト陣の目を奪った。
最速150キロのストレートに加えて、腕の振りが緩まない変化球も魅力。投げっぷりも投球術も一段上のレベルにある。秋から4番も務め、野球センスは抜群。あとは目に見えてわかる結果がほしい。
ミレニアム世代のスピードキングは引地秀一郎(倉敷商)。184センチ80キロの恵まれた体から豪快に最速151キロを投げ込む。現段階では上半身主導の投球だが、それでこのスピードなので伸びしろは十分。一冬越えれば、155キロも夢ではない可能性を感じる。来年のスピード戦線は間違いなく引地を中心に展開されるはずだ。
文=落合初春(おちあい・もとはる)