金足農(秋田)の快進撃に湧いた夏の甲子園が終わって早1カ月。世間のにぎわいも落ち着いてきたが、高校野球は早くも来年のセンバツ、そして101回目の夏の大会に向けた戦いが始まっている。
週刊野球太郎では「甲子園が待ちきれない! 高校野球最前線・秋の陣」と題し、秋の地方大会の熱戦やドラフト候補の動向などを追っていく。
(試合結果は9月14日現在)
まずは9月3日から行われたU-18アジア選手権。甲子園春夏連覇を達成した大阪桐蔭の主力の他、吉田輝星(金足農)、小園海斗(報徳学園)らが揃い踏みし、大会連覇を目指した。
しかし、グループAリーグの3試合目で韓国に1対3で敗れると、スーパーラウンドでもチャイニーズ・タイペイに1対3で敗戦。3位決定戦で中国を破ったことでどうにか来年行われるU-18ワールドカップへの出場権は確保したが、選手もファンも消化不良だったのは否めない。
大会後は木製バットを始めとしたいくつかの敗因が語られたが、強化委員会の設置が計画されるなど今後に向けた動きも現れている。日本の高校球児は間違いなく世界トップクラスだが、それを証明するための盤石な組織作りに期待したい。
9月30日から福井国体(福井しあわせ元気国体)が開催される。夏の甲子園のベスト8を中心とした12チームで争われるトーナメントは、さながらミニ甲子園のようで再びの激戦が期待される。
組み合わせはすでに発表されており、この夏の主役を張った大阪桐蔭(大阪)と金足農(秋田)は別々のやぐらに入ったことから、決勝戦での再戦なるかといったところ。
筆者が気になっているのは大阪桐蔭の決勝までの道程。高岡商(富山)、済美(愛媛)、浦和学院(埼玉)と、夏の甲子園で撃破してきたチームが次々とリベンジを挑んでくるので、一筋縄ではいかないはず。
王者が春夏に続き秋も制し、三冠を達成するか。それとも阻止するチームが現れるのか。注目したい。
国体に出場する一部のチーム以外は、現在、新チームで秋季大会を戦っている。しかし、まだ3年生がまだ大きな注目を集めるのは、10月25日にドラフト会議があるからにほかならない。
有力ドラフト選手からプロ志望届が提出され、インターネットで見られるリストは、将来のプロ野球を担わんと腕ぶす選手たちの名前が日々更新されている。
9月14日現在では、U-18アジア選手権に出場したメンバーの名前はまだ見受けられないが、ここでも注目はやはり吉田輝星(金足農)の動向。スポーツメディアなどの報道では巨人の名が挙がった時期もあったが、当初は大学進学も考えていただけに迷うのは仕方がない。
とはいえ、どちらを選んでもその考えは尊重したいと思う。正しい道など今はまだわからないのだから。
今回の高校野球最前線は、夏の甲子園アフターストーリーを紹介した。
熱闘の余韻……としては長いかもしれないが、金足農の躍進は高校野球ファンだけでなく秋田県や農業界までも勇気づけた。その姿を忘れることはできない。
今後も本連載で吉田輝星の動向を追っていくので、秋の熱戦のレポートとともに楽しみにしてほしい。
文=森田真悟(もりた・しんご)