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復活した『プロ野球呪いのハンドブック』の歩き方〜ソフトバンク・オリックス・日本ハム編〜

 開幕からはや1カ月。チーム成績、個人成績ともにある程度「順位」が固定化してくる頃だ。期待どおり! という選手やチームもあるだろうが、ケガやトラブルに巻き込まれ「こんなはずでは……」と早くも途方に暮れているファンもいるかもしれない。

 そこで、開幕前に発売した『別冊野球太郎2014球春号〜プロ野球[呪い]のハンドブック』(発行・イマジニア株式会社ナックルボールスタジアム/発売・廣済堂出版)を今一度手にしてもらいたい。12球団別に呪いポイント(=チームの課題、ファンとしてはより応援するべき状況)をまとめたこの本を読み返せば、応援するチームの好不調の理由について、ひと味違った視点で検証できる。さらに開幕直前に『週刊野球太郎』で特集した「『プロ野球呪いのハンドブック』の歩き方特集」を振り返れば、これからのペナントレースでの応援ポイントも分かるはずだ。今週はその視点から、パ・リーグの昨シーズンBクラス3球団のここまでの戦いぶりをチェックする。


△2013年パ・リーグ4位:ソフトバンクの応援ポイント▽
◎この呪いは振り払った!?


 昨季、ソフトバンクがBクラスに沈んだ要因のひとつは「4番を固定できなかった」こと。どの選手も4番で起用されると成績を落としてしまうかケガに見舞われてしまった。まさに「呪われた4番の座」。

 しかし今季、新加入の李大浩が全試合で4番に鎮座。李自身の成績は現状、可もなく不可もなく。本塁打の数などどちらかというと少し物足りないかもしれない。だが、李の4番固定は副次的な好結果も導いていることを見逃してはならない。それは前後を打つ3番・内川聖一、5番・長谷川勇也の好成績だ。


▲長谷川勇也


 ここまで、内川が開幕から唯一打率4割超をキープしていたところ、長谷川が猛追。4月25日〜27日の西武と戦った3連戦で12打数10安打の固め打ちで一気に打率.420まで引き上げ、内川を追い抜き、現在の首位打者となっている。もちろん、2人の努力の賜物といえるが、4番が固定し、クリーンナップが固定できたことで、それぞれの役割が明確になったことも大きいだろう。ここに、4番・李まで爆発してしまったら……と考えると末恐ろしくなってしまう。

この呪いに注意!


 好調・オリックスの陰でなかなか首位に返り咲くことができないが、27日の試合終了時で貯金を持っているのは、オリックスとこのソフトバンクだけ。十分、好スタートを切ったと言えるだろう。このままいけば、クライマックスシリーズ(CS)出場は間違いなし! と喜んではいられない。なぜなら、レギュラーシーズンよりもポストシーズンこそがソフトバンクにとって鬼門だからだ。

 プレーオフ制度が導入された2004年と翌2005年、シーズンを1位通過しながら2年連続でプレーオフ敗退。2006年、2007年(※2007年以降はCS制度)、2009年はシーズン3位でポストシーズンもあえなく敗退。2010年にいたってはシーズン1位にもかかわらず、3位・ロッテに「下克上」され、またしても日本シリーズに進めなかった。

 2011年になってようやくペナント、ポストシーズン、そして日本シリーズ全てを勝ち抜くことができたが、通算成績で見ると、やはり「ポストシーズンの呪い」を感じずにはいられない。

 大型補強を敢行して臨んでいる2014年。巨大戦力がポストシーズンで結果を残せるかどうかは、レギュラーシーズンの戦い方も大きく影響するはずだ。今からCSを見据えて、その戦いぶりをしっかりチェックしよう!


△2013年パ・リーグ5位:オリックスの応援ポイント▽
◎この呪いは振り払った!?


 開幕ダッシュに成功したオリックス。シーズン前の評論家順位予想でも「オリックス1位予想」は皆無。いい意味で予想を裏切る4月の快進撃だった。

 特に圧巻なのは12球団1位の防御率だ。エース・金子千尋、昨年9勝の西勇輝の好成績はある意味で「期待通り」。今季のオリックス躍進の象徴的な出来事は、ドラフト1位・吉田一将の活躍だ。ここまで3試合に登板し、早くも2勝。投球イニング数も試合を重ねるごとに増えている。

 オリックスには長年、「ドラフト1位が伸び悩む」というジンクスがあっただけに、このまま順調に勝利を重ねることができるかどうか。抑えの平野佳寿がリーグトップの9セーブを挙げているとはいえ、防御率は3点台をピリッとしない。救援陣の負担を減らすためにも、新人投手の踏ん張りが5月以降のチーム浮沈の鍵を握るといっても決して大袈裟ではない。

この呪いに注意!


 一方で、かつての「ドラフト1位」であり、今季の活躍が期待されるT-岡田と駿太の2人の評価はまだ難しい。

 T-岡田は腰痛で開幕2軍スタート。1軍復帰後はまずまずの成績を残しているが、規定打席にまだ達していない段階ではまだまだ喜べない。そして駿太も、打席数こそ少ないものの、起用されるとしっかりと成績を残している。コンスタントに試合に出るようになって今の成績が残せれば、いよいよ本物になったと実感できるのだが果たして……。


▲T-岡田


 安定した成績を残すことはもちろんだが、チームが困っている時に結果を残せれば、周囲の評価も今以上に高くなるはずだ。防御率1点台ながら昨季同様援護に恵まれず、勝ち星が増えない金子千尋の登板時にこそ得点につながる打撃を見せるなど、わかりやすい「結果」が今こそ求められるはずだ。


△2013年パ・リーグ6位:日本ハムの応援ポイント▽
◎この呪いは振り払った?


 「先発投手がコマ不足」と言われる中、吉川光夫、武田勝も不調。その中で、3年目の上沢直之が救世主のような働きを見せている。防御率は4点台ながらも、ここまでチームトップの3勝。それに続くのが救援・増井浩俊、そして二刀流・大谷翔平の2勝。というわけで、日本ハムに関しては呪いを振り払うどころか、投手陣の立て直しが急務だ。

 実際、シーズン開幕後に今浪隆博と増渕竜義(ヤクルト)の交換トレードが成立。増渕は、2010年に中継ぎとして57試合に登板して20ホールド。2011年はローテーション入りして7勝をマークしている。ここ2年は安定した成績が残せていないが、26歳とまだ若く、中継ぎ、先発の両面での活躍が期待される。

 日本ハム投手陣は他にも、評論家からの評価は高いのに早速2軍落ちしてしまった斎藤佑樹をはじめ、奮起して欲しい選手が多い。西武が下の順位にいるため最下位は免れているか、このままでは昨年同様「最下位が定位置」になってもおかしくはない。

この呪いに注意!


 敵地のデーゲームで連敗スタートとなった今季の日本ハム。昨季も、西武ドームで0勝5敗、ヤフオクドームで0勝4敗と昼間の敵地で散々だった。今年も「敵地のデーゲームで弱い」というジンクスは継続か!?

 昨季はデーゲームで吉川が1勝7敗、木佐貫洋が1勝4敗と苦しんだ。吉川は毎週金曜に登板しているためデーゲームの登板はまだないが、代わりに苦戦しているのが武田勝。デーゲームに3回登板して0勝2敗といいところがない。

 頼みの綱は、デーゲームで2戦2勝と好投を見せていた大谷翔平だったのだが、27日のデーゲームでプロ初黒星を喫してしまった。デーゲームにピークを作るなど、チーム全体で「昼間の戦い方」を今一度見直す必要があるだろう。


▲大谷翔平


■ライター・プロフィール
オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』(新紀元社)では構成を、『漫画・うんちくプロ野球』(メディアファクトリー新書)では監修とコラム執筆を担当している。ツイッター/@oguman1977

※来週は5月7日(水)に更新となります。ご了承ください。

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