海を渡って5年目、現在はカブスに所属する川崎宗則が、7月6日、今年3度目となるメジャー昇格を果たした。
今シーズンの川崎は、4月8日に初のメジャー昇格。2試合で2打数1安打1盗塁と結果を出しながら他選手との兼ね合いで1週間後にマイナー落ち。7月9日の2度目の昇格時には、1試合に出場したのみで3日後にはマイナーへ。メジャーリーグの生存競争の過酷さが垣間見えた。
それだけに、この3度目の昇格に川崎は闘志を燃やしていた。そして、それを表現するチャンスがいきなり到来。メジャーに昇格当日のミルウォーキーでのブルワーズ戦。9回表1死二塁で、代打として打席に立った川崎は、ボイヤーの初球、やや外寄り低めの変化球を上手くとらえレフト線へ運ぶ二塁打。二塁ランナーのモンテロをホームに迎え入れ、1打点を記録した。
8回を終えた時点で、ホームのブルワーズが12対4と大差でリードしていたこともあってスタンドは空席が目立っていたが、それでも川崎が二塁に悠々と到達し、両手人差し指を前に突き出すポーズ&投げキッスでアピールすると、大きな歓声が上がった。
カブスは現在、ナショナル・リーグ中地区の首位を独走中。2位のカージナルスには10ゲーム以上の大差をつけており、プレーオフ進出はまず間違いない。
昨年、ブルージェイズに在籍していた川崎は、アメリカンリーグ優勝決定戦進出決定時に、ベンチ入りメンバーから外れていたにもかかわらず、こんな言葉をチームメイトに投げかけ、鼓舞したことが大きな話題となった。
「Just swing. Just throw. Just catch. Don’t think everybody, just win! (ただ振れ。ただ投げろ。ただキャッチしろ。何も考えずに、とにかく勝て!)」
プレーオフに入ると、よりプレッシャーのかかる試合が続く。今回も、チームは違えどムードメーカーとして川崎に寄せられる期待は小さくない。
ちなみに今回、川崎が対戦したブルワーズのピッチャーは、2013年に阪神でプレーしていたあのボイヤーだ。
藤川球児がFAで渡米したことで手薄になったブルペンを強化すべく阪神に加入したボイヤーは、すべてリリーフで22試合に登板し、3勝1敗という成績を残した。
2104年からはメジャーに復帰し、パドレスで32試合に登板し0勝1敗。2015年はツインズに移籍し68試合で3勝6敗1S。そして今季も55試合に登板し2勝3敗1S(9月7日現在)と、阪神在籍時以上のタフネスぶりを見せている。
文=藤山剣(ふじやま・けん)