週刊野球太郎
中学、高校、プロ・・・すべての野球ファンのための情報サイト

里崎の再来か!? ロッテ・正捕手の座を手にした田村龍弘を日本の正捕手に駆け上がる


 扇の要ともいわれるキャッチャー。海外では守りよりも打撃が重視されることが多いが、日本ではキャッチャーは「攻撃より守り」といわれることが多い。守りのなかでも配球に関して、日本ほど細かく求める野球はほかにないだろう。

 来年、WBCを戦う上でも誰を正捕手にするのかが焦点になるが、一方でここ数年はキャッチャーの人材難が叫ばれている。来年のWBCで日本の扇の要となるのは誰だろうか。

正捕手に迷いがなかった過去大会


 WBCでの正捕手を探る前に、過去のWBCで日本の捕手起用を振り返ってみよう。
 (所属球団は当時)

■第1回(2006年)
里崎智也(ロッテ) 8試合/22打数9安打、1本塁打、打率.409
谷繁元信(中日) 2試合/4打数0安打、打率.000
相川亮二(横浜)1試合/2打数1安打、打率.500

■第2回(2009年)
城島健司(マリナーズ) 9試合/30打数10安打、1本塁打、打率.333
阿部慎之助(巨人) 4試合/6打数1安打、打率.167
石原慶幸(広島) 1試合/打席なし

■第3回(2013年)
阿部慎之助(巨人) 7試合/23打数6安打、2本塁打、打率.261
相川亮二(ヤクルト) 4試合/3打数1安打、打率.333
炭谷銀仁朗(西武) 3試合/3打数0安打、打率.000

 2006年は里崎、2009年は城島、2013年は阿部と、過去3大会いずれも1人の捕手がほぼすべてのイニングでマスクをかぶっている。

 昨年のプレミア12でも、嶋基宏(楽天)、炭谷、中村悠平(ヤクルト)の3人が代表入りしたが、7試合中6試合で嶋がスタメンマスクをかぶった。

 これまでの日本代表は、WBC、プレミア12を通じて、捕手を併用することはなかった。その時、その時の監督が迷う必要がないほど、確固たる捕手がいたからだ。


打率リーグ最下位に沈む昨季の正捕手たち……


 では、来年の正捕手は誰か。

 昨年のプレミア12で正捕手だった嶋の名前が挙がるだろうが、近年はケガが多く、一時のキレもない。リーダーシップがあるため代表には必要な人材だが、正捕手を任せられるかといわれれば疑問符がつく。

 だが、そのほかの捕手をみても、なかなか浮かんでこない。というのも各球団が正捕手の確立に苦労しているからだ。

 昨季、規定打席に達した捕手はセ・リーグが中村悠平(ヤクルト)だけ。打率は.231で、セ・リーグ最下位だった。

 パ・リーグは、炭谷のほかに近藤健介(日本ハム)と森友哉(西武)が規定打席に達したが、近藤と森は捕手以外のポジションでの出場がほとんど。炭谷は打率.211で、中村と同じくリーグ最下位の打率だ。

 守りが重要視されるポジションとはいえ、両リーグともに、規定打席に達した正捕手の打率がいずれも最下位というのは寂しい。


2017年のWBC日本代表「扇の要」には田村龍弘を推したい!


 今季も規定打席に達している捕手は、セ・リーグでは中村のみ。打率は最下位の.201だ。パ・リーグでは田村龍弘(ロッテ)だけ。規定打席という点だけで考えれば、中村か田村が日本代表の正捕手に近いといえる。

 この二択なら、田村のほうがWBCの正捕手に近い。田村は、昨季から続いたロッテの正捕手争いを制し、今季は80試合中68試合でスタメンマスクをかぶっている。

 昨季の打率は.170。本塁打は1本。打撃が課題と言われたが、今季は6月に月間打率.400をマーク。シーズン通算でも打率.270と目覚ましい成長を見せている。昨季は365打席で二塁打が10本だったが、今季は258打席で11本と長打も打てるようになり、スイング自体も鋭くなってきた。

 捕手に厳しいロッテ・伊東勤監督の下でレギュラーを勝ち取ったのも大きな自信となっているだろう。そして何より、チームの先輩でもある里崎が第1回WBCで正捕手になった時の流れにも重なる。

 里崎はプロ入り以降、ケガもあってなかなか1軍に定着できなかった。しかし、5年目の2003年に78試合、2004年に61試合出場。2005年は橋本将との併用ながら94試合に出場して打率.303。レギュラーシーズンでは2位に終わったが、プレーオフを勝ち抜き、日本一まで駆け上がる原動力となった。

 この年の活躍で、他球団のファンに馴染みのなかった「里崎智也」という名前が一気に広まった。今季のロッテがどこまで勝ち抜くのか。それはまだわからないが、徐々に力をつけながら突如躍進してきた田村の姿は、2005年の里崎と重なる。

 伸び盛りの22歳ということもあり、来年のWBCまでさらに力をつける可能性も大いにある。ロッテ同様、日本代表の「正捕手不在」という課題を田村が解決してくれるかもしれない。


文=京都純典(みやこ・すみのり)

記事タグ
この記事が気に入ったら
お願いします
本誌情報
雑誌最新刊 野球太郎No.32 2019ドラフト直前大特集号 好評発売中
おすすめ特集
2019ドラフト指名選手一覧
2019ドラフト特集
野球太郎ストーリーズ
野球の楽しみ方が変わる!雑誌「野球太郎」の情報サイト
週刊野球太郎会員の方はコチラ
ドコモ・ソフトバンク
ご利用の方
KDDI・auスマートパス
ご利用の方