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《引退選手のドラフトをプレイバック》日本ハム・武田勝。クールな男の浪花節と野村克也監督との邂逅


 4年ぶりのリーグ優勝を決めた日本ハム。その激しいカウントダウンの最中の9月23日、武田勝が現役引退を表明した。

 武田は日本ハムひとすじ11年、通算成績は82勝61敗、防御率3.02。球団史上初の4年連続2ケタ勝利を達成した左腕投手となり、2013年には開幕投手もつとめた。

 その投球スタイルとクールな言動から、「飄々」という言葉がピッタリの武田。しかしドラフト指名される際には、この男には似つかわしくないドラマがあったことをご存知だろうか。

シダックス時代の活躍と、義理にこたえた浪花節


 武田は関東一高、立正大を経て2001年にシダックスに入社。社会人野球では同僚の野間口貴彦(元巨人)とともに左右両輪のエースとして活躍した。

 当時のシダックスの監督は名将・野村克也。2003年のドラフトでは、野間口と武田が同時に指名を受ける可能性があったが、武田はチームの戦力低下を案じた野村監督への義理にこたえる形でシダックス残留を選んだ。


カラオケボックス店での仮契約と、恩師との奇妙な再会


 2005年、武田はドラフト4位で日本ハムに指名された。仮契約の会場はシダックス出身ということもあり、カラオケボックスの「渋谷シダックスビレッジクラブ」で行われた。

 プロ入り1年目から1軍登板を果たしたが、プロ初勝利はシダックスを辞めた野村監督が率いる楽天戦。思いもよらぬ形で師匠への恩返しを果たした。

無援護でも腐らないチームの鏡。その男が「俺のために優勝しろ!」


 武田の現役時代のトピックスといえば、2011年の「5試合連続で味方の完封負けによる敗戦投手」だろう。これは2リーグ制以降では史上初の珍記録。これだけ徹底的な「無援護」でも決して腐ることなく前向きなコメントを続けて、逆に武田は男を上げた。

 そんな武田が現役引退を表明した際、武田は球場のベンチを訪れ、「俺のために優勝しろ!」の張り紙を持参して選手に檄を飛ばした。この張り紙は優勝決定の瞬間までベンチに張り続けられていた…。


 飄々と投げて、颯爽と去った武田。将来的には指導者としてチームに戻る含みを持たせたが、当面は「自分を磨くために勉強したい」とコメント。

 とりあえずファンとしては、来季の野球中継の解説あたりでクールな武田節をじっくりと聞かせてもらいたい!


文=サトウタカシ (さとう・たかし)

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