日大三との“ナイター決勝戦”を18対17で制し、春季東京都大会優勝を決めた早稲田実。
その決勝で2本塁打を放った清宮幸太郎(早稲田実、3年)の勢いが止まらない。5月4日の秋田中央との練習試合では、先制2ランで高校通算90号に到達。最終回には逆転サヨナラ3ランの91号と2本塁打放ち、大台の100号へのカウントダウンを加速させた。
100号へ達したら、次は山本大貴(元神港学園)が記録した歴代1位の107号を塗り替える大仕事が待っている。今の量産ペースなら記録更新は時間の問題だろう。
東海大相模と横浜による春季神奈川県大会の決勝は、両校合わせて27得点。東京都大会決勝にならうような打撃戦の末、14対13で東海大相模に軍配が挙がった。
試合は東海大相模が2回裏に10点を挙げ、9点差をつけたことでワンサイドゲームとなるかと思われた。しかし、横浜が意地を見せて猛追。東海大相模がなんとか横浜の反撃をしのぎ切った。
センバツに出場校を送り込めなかった神奈川勢だが、両校を始め強豪校がひしめく。夏の甲子園には優勝候補として乗り込むことだろう。
激選区の大阪で注目したい新星が現れた。興國のスラッガー・中野翔哉(3年)だ。
春季大阪府大会の初戦から4戦連続の5本塁打を記録。これまで通算6本だった本塁打を大きく伸ばした。この大阪府大会4戦連続本塁打は、大阪桐蔭時代の中田翔(日本ハム)に並ぶ記録。夏に向けてさらなる覚醒なるか。
春季群馬県大会の決勝では、今春のセンバツに出場した前橋育英と健大高崎が激突。
3年連続となった同カードでの決勝は前橋育英が7対6で勝利。春季大会3連覇を達成した。また、両校は昨春、昨夏、昨秋、今春と4季連続決勝で対戦し、前橋育英が4連勝。健大高崎にとっては最大のライバルを相手に、悔しい結果となった。
夏の群馬大会も両校が対戦する可能性は高い。前橋育英が再び勝利するか、それとも健大高崎のリベンジなるか。夏の甲子園出場への1席をめぐる争いは、今年も熾烈な展開になりそうだ。
他地区に先駆けて行われていた九州大会は、決勝で神村学園と鹿児島実による鹿児島対決が実現。
試合は神村学園が鹿児島県大会決勝に続き、九州大会でも勝利。2戦連続でライバルを下した。
今春のセンバツでは、福岡勢と熊本勢が九州の出場4枠を占めたが、夏は鹿児島勢が大暴れするかもしれない。
岩手県勢初の3季連続甲子園出場に向けて、チームを強化している盛岡大付。先のセンバツではベスト8。花巻東などのライバルが簡単には勝たせてはくれないだろうが、3季連続の可能性は十分。
目を見張るのはエースの三浦瑞(3年)を軸とした左腕投手陣の充実ぶり。春季岩手県大会に向けた地区予選の初戦では、松本裕樹(ソフトバンク)の弟・跳馬(2年)が先発し、好投。チームの「左腕枠」に滑り込み、夏のベンチ入りを目指している。
脅威の「わんこそば打線」に、充実の投手陣が加われば「鬼に金棒」。盛岡大付の夏が楽しみだ
パワフルなフルスイングでプロ野球を沸かせた中村紀洋氏(元近鉄ほか)が、浜松開誠館のコーチに就任することが発表された。
2月から同校の監督に就任した佐野心(元中日)の誘いでコーチ就任が実現したのだが、中村氏が指導するようになってからチームの本塁打数が増え、早くも効果が出ているという。
浜松開誠館は、まだ甲子園に出場したことがない。高校時代に渋谷(大阪)を甲子園初出場に導いたように、同校を聖地に連れていけるか。
最後に紹介した中村氏のコーチ就任のニュースに驚いた野球ファンも多いのではなかろうか。
日々、変わっていく高校野球界。来週も「高校野球を100倍楽しめる」最新情報をお届けしていくのでお楽しみに。
文=森田真悟(もりた・しんご)