6月18日にファン投票が締め切られる「マイナビオールスターゲーム2017」。第1戦が7月14日にナゴヤドーム、第2戦が7月15日にZOZOマリンスタジアムで開催される。
本来、野球の花形ポジションといえば投手だが、オールスターゲームではそれが当てはまらない。理由は投球回数が最大で3回という制限のためだ。
それに加えて、打者は本塁打や勝ち越し打を1本放てばそれだけでMVPのチャンスだが、投手は1発でも打たれるとマイナスイメージとなる傾向がある。
よって、過去を振り返ると投手がMVPを受賞するケースが極端に少ない。逆に言えば、それでも受賞した投手はすごいということだが、一体どれぐらいいるのだろうか?
「9者連続三振」を成し遂げた江夏豊以降の、主な受賞者を振りかってみる。
(球団名は当時の所属球団)
1971年の第1戦に先発した江夏豊(阪神)はパ・リーグの1番・有藤通世(ロッテ)を皮切りに、基満男(西鉄)、長池徳二(阪急)、江藤愼一(ロッテ)、土井正博(近鉄)、東田正義(西鉄)、阪本敏三(阪急)、岡村浩二(阪急)、そしてパ・リーグの先発・米田哲也(阪急)の代打・加藤秀司(阪急)から圧巻の9者連続奪三振を達成。
しかも、江夏は2回に3ラン本塁打を放っている。オールスター史上、最も輝いた投手といっていいだろう。
ちなみに江夏は前年の1970年のオールスターゲーム第2戦で8奪三振、1980年の第3戦(当時は広島に移籍)で9回無死満塁から3者連続三振の活躍。いずれもMVPを受賞している。
一方、1984年の第3戦に2番手で登板した江川卓(巨人)は、快投を重ねて8者連続奪三振。しかし最後の打者・大石大二郎(近鉄)が何とかバットに当て二塁ゴロ。まさに「当たった」という打撃だった。惜しくも大記録は逃したが、堂々のMVPだ。
江川がMVPを獲得した1984年以降で、MVPに輝いた投手を見てみよう。
■村田兆治(1989年)
第1戦に先発した村田兆治(ロッテ)は、3回を2安打無失点で勝利投手。元号が昭和から平成へ変わり、阪急がオリックスに、南海がダイエーに買収された節目の年だった。
■川上憲伸(1998年)
1998年は前年完成したナゴヤドームでの初球宴。地元の期待を背負って第1戦に先発した川上憲伸(中日)は、3回を2安打無失点で勝利投手。新人投手として初のMVP受賞だ。
■松坂大輔(2004年)
第1戦に2番手で登板した松坂大輔(西武)は、2回を無安打無失点で勝利投手。2004年のオールスターゲームは、オリックスと近鉄の合併による球界再編問題で揺れているなかで開催された。
■前田健太(2012年)
第2戦に先発した前田健太(広島)は、3回を1安打無失点で勝利投手。広島の投手によるMVP受賞は、1980年の江夏豊以来32年ぶり。
■澤村拓一(2013年)
第1戦に2番手で登板した澤村拓一(巨人)は、3回を1安打無失点(試合は引き分け)。巨人の投手によるMVP受賞は、1984年の江川卓以来29年ぶり。
■藤浪晋太郎(2015年)
第1戦に2番手で登板した藤浪晋太郎(阪神)は、3回を無安打無失点で勝利投手。阪神の投手によるMVP受賞は、1971年の江夏豊以来44年ぶり。
文=サトウタカシ (さとう・たかし)