世はイクメンブーム。最近では休日となると公園にもベビーカーを押す、育児パパたちが出現し、ほほえましい光景が繰り広げられている。
昔は「男は球場で魅せる。女房や子どもを泣かせても……」と昭和一本気だったプロ野球界だが、近年は子煩悩なイクメンも増えている。
プロ野球界で有名なイクメンといえば、内海哲也(巨人)だ。3男1女と子宝に恵まれた内海は、テレビ番組などでたびたび子育てエピソードを披露。愛車も少年・中学野球チームの監督が御用達のトヨタ・アルファードという本格派だ。
6月には北海道・訓子府町図書館が日本ハムの“イクメン選手”がおすすめする絵本を集めた特設展を開催。武田久は『くすのきだんちは10かいだて』(武鹿悦子著/ひかりのくに)、吉川光夫は『あなたがだいすき』(鈴木まもる著/ポプラ社)を推薦し、ホンモノのイクメンっぷりを発揮している。
1990年代のトレンディ化から、「父としての顔」を盛んに見せてきたプロ野球選手たち。その当時、プロ野球選手の愛息・愛娘としてメディアに登場したチビッ子たちが今、各界で続々と芽を出している。
そんなわけで今回、現在さまざまな舞台で活躍するプロ野球選手のジュニアたちを一挙に紹介しよう。
「プロ野球選手の息子」として、1990年代からトップロードを走り続けているのが、三冠王・落合博満氏(元ロッテほか)の愛息・落合福嗣さんである。
福嗣さんのこれまでの肩書きは〈日本のタレント、コラムニスト、評論家、コメンテーター、エッセイスト、歌手、声優〉と幅広い。中学生や高校生にとっては一体何者? となりそうだが、職業は紛れもなく「落合博満の息子」といったところだろう。
1990年代のテレビ番組で子どもの頃から、たびたび仕出かしていたフクシくん。女子アナのスカートに潜り込む、おっぱいを揉む、テーブルの上からおしっこをする、スタジオの影でおしっこをするなど、数々の「フクシ伝説」を樹立した日本きっての“悪童”だ。
その悪目立ちもあって、学生時代には過酷なイジメを経験したそうだが、大学卒業後は『週刊プレイボーイ』で連載を持ったり、その妙に説得力を感じるコラムをまとめた『フクシ伝説 うちのとーちゃんは三冠王だぞ』(集英社)を発売したりと、何をしているのかわからない不思議な人物へとなっていった。
2010年の自著発売と同日に23歳の若さで結婚。お相手は某SNSで知り合い、インターネット電話サービスで愛を育んだ一般人女性で、これまたかなり美人。独身貴族の皆さんには検索注意と呼びかけたい。
この結婚には父・博満氏も、インパクト抜群の母・信子さんも大喜び。新居をポーンとプレゼントしたと公表するなど、アメリカンセレブも顔負けである。
「落合家の成人は25歳」
「25歳を過ぎてもやりたいことが見つかるまで探せばいい」
と、うらやましくも浮世離れした子育て論の落合家。ネット上の一部では落合福嗣さんを「エリートニート」などと崇拝する声も上がっていたが、ここへ来て事態は急変。
今月7日からTOKYO MXなどで放送を開始したTVアニメ『それが声優!』(原作・あさのますみ/漫画・畑健二郎)でなんと声優デビューを果たしたのだ。
正直これだけ聞くと、話題作りと見られがち。筆者も「どうせカメオ出演の類だ」と思い込み、アフレコシーンを見たのだが、その予想を裏返すうまさでビックリ仰天。どうやら、大学卒業後に声優養成所に通い、本格的に声優を志したらしく、ついに“本業”と呼べる職にたどり着いたようだ。
これには両親もデビュー祝いの食事会で涙を流したらしく、これからは「落合博満の息子」だけではなく、「声優」として注目を集めたい。
「父子揃って大ファンであるガンダムシリーズへの出演を目指して……」とは本人は語っていないが、そうなるように影ながら応援したい!
父の知名度を生かして……というと怒られるかも知れないが、芸能界でも次々とプロ野球選手の愛娘たちが存在感を示している。
近年のアイドル界でいち早く頭角を現したのは、吹石徳一(元近鉄)の長女・吹石一恵さんだ。
幼少時から芸能活動に取り組んでいた吹石一恵さんは、一世を風靡した恋愛シミュレーションゲーム『ときめきメモリアル』の映画化作品でヒロイン・藤崎詩織役に抜擢されると大ブレイク。
1999年には当時、現役女子高生アイドルの最高峰ともいわれた「ビクター・甲子園ポスター」にも採用され、父とともに大いに注目を集めた。
確かに父・徳一も現役時代の写真を見るとイケメンだが、どちらかといえば、野性味あふれるタイプのイケメン。往年の近鉄ファンは吹石一恵さんの淡くも瑞々しい微笑みに「まさか!」と驚きを隠せなかったらしい。
また、現在売り出し中のジュニアたちもいる。有名どころは2014年からAKB48のチームB・キャプテンを務める倉持明日香さん。父はロッテなどで活躍した名リリーフ・倉持明だ。
今年5月には、QVCマリンフィールドで2度目となる親子始球式を行い、ワンバウンドながら堂々の投球。始球式後のツーショット撮影で父・明は恥ずかしそうに顔を赤らめていたのが印象的だ。
HKT48にはダイエーなどで活躍した若田部健一の愛娘・若田部遥さんが所属。ソフトバンク戦の中継レポーターを務めることもあり、昨年、レポーターを務めた試合はソフトバンクが8勝1敗1分。ファンにとっては、「元エースの娘」や地元のアイドルが出てきた、というだけではなく、紛れも無く勝利の女神だった。
そのほかにもグループアイドル界では大森剛(元巨人)の娘・大森美優がAKB48(チーム4)に所属しており、今年6月の総選挙では圏外から67位に躍進している。
ここからの飛躍に期待したいのは、日本ハム、西武で活躍したトレンディエース・西崎幸広の長女・西崎あやと次女・西崎莉麻のトレンディ姉妹だ。
甘いマスクとオシャレな私服で「パンチパーマ・金のネックレス・ロレックス」の三種の神器をパ・リーグからフェードアウトさせた西崎幸広の愛娘とだけあって、その容姿は折り紙つき。
姉・西崎あやは女優として活躍。NHK大河ドラマ『八重の桜』に出演したほか、今年は土曜ワイド劇場『温泉 (秘) 大作戦』で役をつかむなど、徐々に活躍の場を広げている。
妹・西崎莉麻はグラビアアイドルとして売り出し中。『週刊プレイボーイ』や『週刊ヤングマガジン』などの巻頭グラビアを飾り、こちらも声優、女優など幅広く活動している。プロ野球ファンとしては、グラビアは父の顔を思い出してしまうが……。
次々と花を咲かせつつある1980〜1990年代を彩った名選手のジュニアたち。二世の活躍に今後も注目していきたい!
(文=落合初春)