12球団屈指の打線を誇っていたことから、開幕前は打倒ソフトバンクの一番手とも言われていた。しかし、優勝争いにからむ見せ場もないまま今年もBクラスに沈んだ。
とはいえ、金子侑司が盗塁王獲得が濃厚という活躍を見せれば、投手陣では負けじと菊池雄星が初の2ケタ勝利を達成。昨年のドラフト1位・多和田真三郎もプロの水に慣れた8月半ばから5連勝と、来季に向けての光明も見えたように思える。
一方、救援投手陣は牧田和久が先発からバトンを受ける役を担い、増田達至がクローザーに定着したものの、彼らの間を任せられる投手が相変わらず少なかった。そこがAクラスを決めたチームとの差になって現れたのだろう。
西武のドラフトといえば、お家芸の単独指名とファンも驚きの独自指名路線。昨年の多和田真三郎、一昨年の高橋光成と有力投手の一本釣りに成功しているだけに、今年は何をやってくるのか。当日、読みあげられる選手名が楽しみでならない。
今年も「好素材」がひしめく投手の指名が有力。即戦力リリーバーもほしいところ。だが、中島宏之(現・オリックス)の退団以降なかなか解決しない正遊撃手問題もそろそろ決着をつけたい。
今季、終盤に呉念庭が台頭したことで、遊撃ポジション争いには一応の解答が出たかに見える。とはいえ、1位指名に足りる有望選手が潜んでいるだけに、念には念を入れておくべきだろう。
遊撃手の1位指名候補とは、吉川尚輝(中京学院大)。派手なプレースタイルは、松井稼頭央(現楽天)、中島らが務めてきた花形ポジションを任せる資質は十分。
他球団の指名状況によっては2位で獲得できる可能性もあるので、今年こそドラフト巧者の腕の見せどころだろう。
文=森田真悟(もりた・しんご)