今シーズンのセ・リーグは王者・広島が開幕から出遅れた。しかし、混戦から抜け出しているチームはなく団子状態。そのまま各チームはゴールデンウイークの大型連戦へと突入することになる。
大型連戦では先発投手・中継ぎ投手ともにやりくりが必要となり、投手陣の整備がより一層求められる。開幕ローテーションを振り返りながら、各チームの先発ローテの展望を検証したい。
(成績などは4月21日現在)
■巨人の開幕ローテーション
菅野智之、ヤングマン、畠世周、山口俊、メルセデス、高橋優貴
巨人は絶対的エースの菅野智之が開幕投手に指名された。菅野は4試合に登板して全試合でQSを達成し、3勝1敗、防御率2.12と例年通りの活躍。大きな心配はなさそうだ。菅野がカード頭の金曜日に登板するのに対して、もうひとつのカード頭である火曜日の先発は完投能力の高い山口俊が務める。山口も3試合で3連続QSと結果を残している。
メルセデスは外国人枠の関係もあり、ヤングマンと併用状態。両投手ともに年間を通じた登板数は少なくなりそうだ。ドラフト1位の高橋優貴は初登板初勝利をマーク。その後は間隔を空けて2試合目に臨んだが、7四死球と苦しんだ。今後の起用法は未定だが、今村信貴や田口麗斗といった左腕投手とローテーションを競うことになりそうだ。
(※高橋優貴は4月24日のヤクルト戦で5回無失点の好投、2勝目をマークした)
全体的に見ると、大きな故障離脱や不振はなく、先発投手陣に関しての心配はなさそうだ。
■ヤクルトの開幕ローテーション
小川泰弘、石川雅規、高梨裕稔、原樹理、高橋奎二、寺原隼人
開幕投手の小川泰弘、ベテランの石川雅規にここまで勝ち星がない。そんななか、原樹理が完投勝利を含む2勝。6連戦の初戦となる火曜日の先発を守っている。
高橋奎二は2試合で防御率12.79と打ち込まれ、現在は2軍調整中。また新加入の寺原隼人は4月11日の広島戦で移籍後初勝利をマーク。しかし、その後に体調不良となり、高橋と同じく2軍調整中だ。
現在は開幕から少し出遅れたブキャナンがローテーションに復帰。また、新外国人のスアレスもいる。中継ぎのマクガフ、ハフが好投を続けているだけに外国人枠の使い方がカギとなりそう。
■中日の開幕ローテーション
笠原祥太郎、山井大介、柳裕也、大野雄大、吉見一起、ロメロ
開幕から好調な中日は柳裕也、大野雄大の2人が、昨シーズンとは打って変わって結果を残している。柳は4試合で3QS、2勝0敗、防御率2.73。大野は3試合で2QS、1勝1敗、防御率2.75。好調な打線に目がいきがちだが、昨シーズン2勝の柳と未勝利に終わった大野がローテーションを支えている。
また新外国人のロメロも初登板から2連勝。阪神に移籍したガルシアの穴をしっかりと埋めている。また、開幕投手に抜擢された笠原祥太郎も4試合で2勝0敗、防御率2.75とこちらも安定。
先発ローテーションに名を連ねた投手が揃って結果を残していることが、好調な要因のひとつだろう。
■DeNAの開幕ローテーション
今永昇太、京山将弥、井納翔一、上茶谷大河、濱口遥大、大貫晋一
初めて開幕投手に抜擢された今永昇太が4試合を終えて防御率0.87と絶好調。同じく左腕の濱口遥大も3試合を終えて防御率1.71と安定している。両左腕が軸となれば優位にシーズンを進められるだろう。
一方、上茶谷大河、大貫晋一と2人の新人がローテーションに名を連ねているのは不安要素か。年間を通じたパフォーマンスができるのか気になるところだ。
調整が遅れていた昨シーズンの新人王・東克樹は2軍で復帰した。ただ、井納翔一も今永も濱口も2ケタ勝利を挙げた翌シーズンは低迷した。東がローテーションに戻り、悪しきジンクスを打破できるか? それが勝負の分かれ目となりそうだ。
■開幕ローテーション
大瀬良大地、床田寛樹、九里亜蓮、ジョンソン、野村祐輔、岡田明丈
開幕ダッシュに失敗した広島。開幕ローテーションを見ると、大瀬良大地が防御率2.57ながら1勝2敗と負け越し。しかし、黒星がついているものの、試合は作っており大きな不安はなさそうだ。また野村祐輔は3試合で1勝0敗、防御率3.18と悪くはない。
誤算は4試合で防御率7.31のジョンソンだろう。QSすら1度もなく、試合を作ることが全くできていない。また、九里亜蓮も3試合で0勝2敗、防御率5.93と苦しんでいる。
一方、3年目の床田寛樹が好調。4試合で3勝1敗、防御率2.30。トミー・ジョン手術を受けた影響で昨シーズンの1軍登板はゼロ。そこから見事な復活を果たした。中継ぎ陣がここ数年の登板過多で疲弊しているだけに、床田、大瀬良のほかに試合を作ることができる投手がほしい。
■阪神の開幕ローテーション
メッセンジャー、岩貞祐太、西勇輝、ガルシア、青柳晃洋、浜地真澄
阪神は補強組で明暗が分かれた。西勇輝は2勝2敗と貯金こそないが、防御率1.50と安定。打線の援護があれば自ずとと勝ち星は増えていくはず。一方のガルシアは3試合連続で7失点KO。ファーム降格となった。肝入りの獲得だっただけに矢野燿大監督も苦しい状況だ。
今年から日本人選手扱いとなるメッセンジャーは、4月19日の巨人戦で打球が直撃。打撲のため、登録を抹消された。チームが低迷しているなか、エースの離脱はあまりにも大きい。
4年目を迎える青柳晃洋は3試合で0勝2敗ながら、防御率2.50と安定しておりローテーションに定着。ブレイク候補の一人でもある。となると、やはりカギはメッセンジャーとガルシアになりそうだ。
こう見ると、開幕ローテーション、そして軸となる投手が安定している巨人、中日が上位にいる。逆に誤算が多い、広島、阪神は低迷中。まだまだシーズンは始まったばかり。ここから各チームはどのように運用していくのだろうか。監督、投手コーチの手腕が注目される。
文=勝田聡(かつた・さとし)