東邦の優勝で幕を閉じた平成最後の甲子園。その裏では各地で春季大会が幕開け。夏への前哨戦の火蓋が切って落とされた。
夏の全国覇者はどこになるのか!? センバツの結果を踏まえて大予想してみたい。
当然、期待がかかるのは東邦の春夏連覇。石川昂弥の投打の活躍にはしびれた。ただ、全5試合に先発し、40回を投げた疲労もあり、春は当面の間、野手専念の予定。この段階で野手一本を明言していることもあり、投手としてのスタミナ、状態にはやや疑問が残る。
秋季東海大会の準決勝、石川が先発しなかった中京学院大中京戦では、9対10の乱打戦にもつれ込んでおり、2番手以降の整備次第といったところか。
また愛知県勢は力量と比較しても夏に弱く、ここ50年で全国制覇を果たしたのは、2009年の中京大中京のみ。地方大会の過密日程が原因とも言われるが、2010年以降で見ても、ベスト16進出が最高成績。さすがに割引せざるを得ないが、打線は図抜けていた。2009年の中京大中京のようにゴリゴリと打ち勝つ可能性もある。
星稜・奥川恭伸が大いに注目を集めた今大会だったが、キラリと光る持ち味を見せたのは龍谷大平安の軟投派左腕・野澤秀伍だ。ストレートこそ130キロ前後だが、洗練されたコントロールと投球術で、初戦から津田学園を相手に11回完封。続く2回戦でも盛岡大付から1失点完封勝利を収めた。
野澤は秋季近畿大会でも市和歌山、履正社、明石商をヌルりと抑えきっている。それも履正社戦は7回無失点(コールド完封)、明石商は延長12回1失点の超好投だ。両校ともにセンバツ出場校の中でも指折りの強打線である。
それでもセンバツ前はある意味ノーマークの存在だった。それもこれも控えめな球速のせいだろう。ここまで活躍すると夏はマークされるはずだが、超高校級の技巧派。的を絞らせない投球はお手の物だ。細身だがスタミナもあり、夏は飄々と投げ抜いてくれそう。夏の大本命投手に挙げたい。
改めて恐ろしい存在になったのは明石商。中学軟式球界で明徳義塾中を4度の全国制覇に導いた狭間善徳監督が2007年にやってきてから、一歩ずつ着実に成功し、2016年春に甲子園初出場。2017年秋から兵庫県大会4連覇中。強豪ひしめく兵庫県で猛マークを振り切り、完全に頭一つ抜け出した。
1番の来田涼斗(2年)をはじめ、打線全体の打球速度は明らかにトップクラス。割引要素はエースの中森俊介が2年生ということぐらい。現段階でも最速147キロを叩き出しており、実力に問題はないだろう。
明石商といえば、これまでは細やかな野球の印象もあったが、ここまでパワフルなスイングをしてくるとは思っていなかった。チームとしても一皮剥けた印象だ。
複数投手制を敷くチームでは智辯和歌山のバランスが取れていたが、エースの池田陽佑と2番手の池田泰騎がやや不調だった。その後を争う小林樹斗が甲子園で覚醒の兆しを見せたが、もう一声ほしい。
独断と偏見、当たれば八卦の大予想になるが、夏は明石商、龍谷大平安が本命と見た。
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文=落合初春(おちあい・もとはる)