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チームを引っ張るのはオレだ! 2016年プロ野球でペナントの行方を左右する3人の主将たち

 時にプレーで、そして言葉で。主将(キャプテン)に就く男には、チームを鼓舞し頂点に導くことが求められる。似たものとして選手会長があるが、こちらはフロントらとの対外的な折衝が本来の役割。なので、キャプテンは「グラウンド上のリーダー」と呼ばれることが多い。

 今季は9球団がキャプテン制を敷く。その中から特に注目したい3人の選手を挙げよう。


平田良介(中日):主将1年目


 20年余りの空白を経て、強竜軍団に新キャプテン誕生だ。中日は今季から平田良介が主将に就任。1994年の仁村徹(現・楽天1軍ヘッドコーチ)以来、チーム22年ぶりの同制度復活である。


 今回は谷繁元信監督と小笠原道大2軍監督の合議制で決められた。3年連続Bクラスに沈む現状に加え、長年チームを支えたベテランたちが相次いで引退。半ば強制的に世代交代がなされる中、新時代のリーダー擁立は必然だった。昨季は自身初のベストナインに輝き、プレミア12でも活躍した背番号6にとっては、選手としてもうひと皮剥けるチャンスだ。

 元来、奔放な発言と天然キャラでお茶の間を沸かせるタイプ。しかしキャプテンに就任してからは、自主トレに後輩を引き連れ“ムサい男塾”を主宰するなど、自覚の見える行動も出てきた。チームの躍進、そして目標の打点王獲得に向け、平田は全力を注ぐ。


大野奨太(日本ハム):主将1年目


 もうひとり、今季から主将に就任するのが日本ハム・大野奨太。こちらは宮西尚生から引き継ぐ。北海道移転以降は小笠原道大(2004〜2005年)、金子誠(2007〜2008年)に次いでチーム3人目となる選手会長との兼任だ。

 「人格的にもチームを引っ張れる大野以外、他の選択肢がないくらいすんなり決めました。」と、栗山英樹監督もその人間性に絶大な信頼を置く。捕手としては、強肩に加え、投手を強気に引っ張る姿勢に定評があり、昨季は大谷翔平とともに最優秀バッテリー賞に輝いた。

 オフにはFA権を取得。去就が注目される中、チームを高みへ導く使命を背負うことを決断した。そして、引退した中嶋聡から背番号27を継承。待ち受けるのは近藤健介、市川友也らとの正捕手争いだ。まずはレギュラーの座をがっちりと掴み、選手会長とキャプテンの「二足のわらじ」を全うする。


栗山巧(西武):主将5年目


 12球団で最も長く主将を務めているのが西武・栗山巧。2012年から務め、今季で5年目。端正な顔立ちに加え、人格者として知られる背番号1はファンから絶大な人気を誇る。

 ある時には自転車で走る少年ファンに「ライオンズの帽子を被っているから」とサインボールを渡し、またある時には戦力外になった元チームメートに自らの運転手をやるよう提案し再起への支援を行う。マスコミ対応も真摯に行い、その姿勢はプロ野球選手の鏡のような存在だ。


 一方でチームや周囲に心血を注ぐ中、主将に就任して以降は打率3割を切るシーズンが続く。その名の通り巧みなバットコントロールが一番の武器で、最多安打のタイトルも獲った栗山からすると物足りなさを感じるのも事実。今季は自身5年ぶりの打率3割到達、そして8年ぶりのリーグ優勝に向け、己の全てを捧げる。


文=加賀一輝(かが・いっき)

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