アジア第3の野球勢力と言っていい台湾(チャイニーズ・タイペイ)だが、ここのところは低迷を続けている。
ナショナルチームでは、2008年の北京五輪と2009年のWBCで中国によもやの敗戦。単独チームでも、日韓のチャンピオンがオープン戦モードで臨んだこともあり、決勝戦に進んだ地元開催の2013年アジアシリーズでオーストラリア勢に優勝カップを奪われている。
その原因の1つとして現地関係者が指摘するのが、過剰なまでのメジャー志向だ。U-15やU-18では日本と対等、それ以上の強さを発揮する若手の有望株たち。しかし、そのポテンシャルを評価され、アメリカに渡るものの、多くの選手はアメリカでの競争に負け、野球的に得ることは少なく、台湾に帰ってきたときには、すでに色褪せてしまっているということは日常茶飯事だという。
このことにより、メジャーで通用する選手か、箸にも棒にもかからない選手か、という二極化になってしまい、ナショナルチームの強化は進まない。アメリカで成功を収めたメジャーリーガーの元中日、チェン・ウェイン(オリオールズ)、メジャー復帰を狙う王建民(マリナーズ3A)は、今大会には参加しない。こうなると、国内リーグのトップでも3点台の防御率で、そのうえに投手ランキングの上位は軒並み外国人投手で占められている、心もとない国内組の投手陣しかいなくなる。
この関係者は言う。「台湾の選手は、青田刈りされるくらいなら、日本へ行った方がいい。日本の方が丁寧に指導してくれるし、チャンスも多い」と。今大会は日本組の投手陣が鍵を握るだろう。NPBでその素質を開花させた、郭俊麟(写真・西武)、チェン・グァンユウ(ロッテ)が先発投手としてどれだけ活躍するかが見どころだ。