現在のプロ野球界で最も信頼が厚い馬券名人といえば、田中将大(ヤンキース)だろう。中穴を狙い打つ読みはすさまじく、スポーツ紙では「万将」「マー将」などの二つ名をもらうほどだ。
田中はBクイーンズリングを本命に据え、各紙でBAKM→B@AIKM→B@AIKMの3連単フォーメーション(80点)の予想を披露していた。
そしてレース本番、クビの上げ下げで2着に潜り込んだのは8番人気のBクイーンズリング。前走エリザベス女王杯では7着に沈んでおり、なかなか軸にするのは難しいところだったが、見事にマー君馬券は的中した!(3連単2万5040円)
ちなみに12月28日のヤングジョッキーズシリーズにはマー君がプレゼンターで登場予定。波に乗るマー君に全力でぶら下がりたい。
有馬記念の予想といえば、盛り上がるのはサイン予想。今年の世相や出来事、語呂合わせなどから買い目を決めるオカルト方式だが、プロ野球界ではマスコット勢がよくサイン予想を披露している。
過去の有馬記念で4戦2勝のつば九郎は「ことしのかんじはきた」と「きたさんぶらっく1ちゃくこてい」とAキタサンブラックを本命に。ドアラも今年2000本安打を達成した荒木雅博(中日)、阿部慎之助(巨人)、鳥谷敬(阪神)の背番号からA→I→@の3連単1点を予想していた。
ロッテの新マスコット・謎の魚も有馬予想に初参戦。「魚だけにシャケ(Fシャケトラ)はほっとけない」などと言いつつも、Aキタサンブラックの前走落鉄などに触れ、馬単A→K、3連単A→K→Fの予想を披露していた。
みな3連単は外したものの、なんだかんだでAキタサンブラックを軸に据えるガチ予想。彼らは競馬になるとなぜか急に真剣になるのだ。
「プロ野球→有馬記念」のサイン探しは毎年活発だ。2016年はカープの25年ぶり優勝、新井貴浩の背番号25から、多くのカープファンがAD絡みの馬券に食いつき、正月の餅が買えなくなったらしい。
今年は逆に有馬記念→プロ野球界へのサインを探ってみたい。
気になるのは田中将大が的中させた2着の5歳牝馬・クイーンズリングだ。今年は4月の阪神牝馬Sで始動したが、落鉄の影響もあり15着と惨敗。10月の府中牝馬Sの4着が最高だった。
そのなかで2着に入り込んだ要因のひとつはローテーションだ。前走のエリザベス女王杯からは中5週で余裕のあるローテーションだった。
今季のプロ野球で、春先に足元のトラブルがあり、徐々に調子を上げてきた選手といえば、そう大谷翔平だ。大谷の加入によりエンゼルスは中5日の「余裕のあるローテーション」を組むといわれている。
さらにクイーンズリングは過去にフィリーズレビュー(1400メートル)、京都記念(1400メートル)、府中牝馬S(1800メートル)、エリザベス女王杯(2200メートル)を制した距離自在のいわば二刀流(?)。
つまり、大谷の活躍を暗示しているのだ…!
ちなみに大谷は2016年の有馬記念で「馬券は買わないので予想だけ…」とマジメアピールをしつつも自身の背番号からJサトノダイヤモンドをブチ当てている。
2016年は田中、今年は前田健太(ドジャース)が有馬記念のプレゼンターを務めるなど、メジャーリーガーと競馬界の親和性は高い。メジャーデビューを期に「マジメ」の皮を脱ぎ捨て、大谷のガチ予想デビューにも期待している。
文=落合初春(おちあい・もとはる)