新型コロナの影響で球春は到来していないが、今年も幕が開けるドラフト戦線。プロ注目の大学生候補を一気に紹介しよう。
ドラ1候補の一番乗りを果たしているのは、近畿大の主砲・佐藤輝明だ。なんといってもその魅力はフルスイング。186センチ92キロのゴツい体から繰り出されるスイングは豪快そのもの。「糸井嘉男(オリックス)2世」といわれる左のスラッガーだ。
三塁、外野、一塁を守れるユーティリティー性もあり、フィジカルと合わせて高く評価されている。三塁を守れるスラッガーは多くの球団が望む素材。大争奪戦になりそうな予感。
今年のスピードキングとしてその名を轟かせそうな存在が、苫小牧駒大の伊藤大海。176センチ80キロとミドルサイズながら、最速155キロのストレートを持ち、侍ジャパン大学代表では守護神を任されてた。
正直、大学生であれば150キロ台中盤も珍しくない時代になってきているが、伊藤は球筋が別格。浮き上がるストレートは藤川球児(阪神)の「火の玉ストレート」を彷彿とさせる逸品だ。
木更津総合高時代の甲子園での好投が記憶に新しい早川隆久だが、早くもドラフトの年。140キロ前後だった球速も最速151キロまで伸ばし、昨秋の東京六大学リーグでは45投球回で53奪三振を記録した。
フォームに柔らかさも出てきており急成長中。早稲田大で主将を務めるリーダーシップもある。惜しむらくは、ここまでリーグ戦で7勝12敗と勝ち切れていないこと。このところ、早稲田大がやや不振に陥っている事情もあるが、その中でも勝ち星をもぎ取れるエースになりたい。
4月11日のリーグ開幕に照準を合わせ、結果でアピールできるか。
復活を期待されているのは、慶應義塾大の左腕・佐藤宏樹だ。大館鳳鳴高出身で高校時代は全国的に無名だったが、慶應義塾大で1年春から東京六大学リーグで神宮デビューを果たすと、1年秋は9試合で3勝0敗。26回1/3回を投げて42奪三振、防御率1.03(リーグ1位)をマークし、一躍ブレイクした。
しかし、2年時に左ヒジの靭帯を痛めてからは登板数を減らしており、完全復活には至っていない。それでもポテンシャルに期待を寄せるスカウトも多く、見逃せないドラフト候補の一人だ。
2016年のセンバツ優勝投手・村上頌樹は東洋大でズバ抜けた実戦力を見せている。智辯学園高時代は最速が140キロ前後のスピードだったが、コンスタントに140キロを超えるようになり、昨春は東都大学リーグで6勝0敗、防御率0.77の好投でMVPを受賞。昨秋も防御率1.26とハイレベルなゲームメイク能力を見せた。
174センチとやや小柄でどちらかといえば総合力で勝負するタイプだったため、高校時代はプロスカウトの食指が動かなかったが、レベルの高い東都大学リーグでここまで結果を出せば本物だ。
中学時代には全日本中学陸上競技選手権大会で100メートル、200メートルを制し、佐野日大高時代から「サニブラウンに勝った男」として注目を集めてきた韋駄天。恐ろしいほど速い俊足は今も健在だ。
ただ、171センチ70キロとやや小柄で打撃力が課題に挙げられていたが、昨秋は東都大学リーグで打率.300を記録し、着実な成長を見せている。打撃の確実性を増せば、「足のスペシャリスト」としての付加価値も高まるはず。今年は打撃勝負の1年になりそうだ。
文=落合初春(おちあい・もとはる)