ヒルトンのようにヤクルトで活躍した外国人選手は他球団へ移籍することが多い。パリッシュ(阪神へ移籍)、ハウエル、ペタジーニ、ラミレス、グライシンガー(以上、巨人へ移籍)ら多くの外国人選手がNPBの他球団へ移籍していった。
これらの失敗を繰り返さないためなのかはわからないが、バレンティンは昨季まで複数年契約を結び、今シーズンで7年目。故障は多いもののヤクルトの歴史に名を残す活躍を見せてきた。
今シーズンも好不調の波はあるもののすでに31本塁打をマークするなど主軸として貢献。しかし、開幕前に行われたWBCでベストナインにも選ばれる活躍をしたことで、メジャー復帰も視野に入ってきた。今季は単年契約ということもあり、残留の可能性は低そうだ。もちろん、球団は残留交渉を行うが、果たして。
ほかの野手陣では、左の大砲候補として今シーズン加入したグリーンは25試合で打率.194、2本塁打、8打点と結果を残せず自由契約が濃厚。
また、シーズン途中に加入したベネズエラ出身のリベロは一塁、三塁を守れる大砲候補だったが、ここまで47試合で打率.217、6本塁打、20打点と今ひとつ。また、拙守が目立ち、今シーズン限りで自由契約となりそうだ。しかし、バレンティンとの交渉次第では一度リリースしてから再契約の可能性もある。
野手陣は「シーズン終了後から本格交渉」との報道も出ているバレンティンの去就によって大きく動きが変わりそうだ。
続いて投手陣を見ていこう。今シーズン、新たに加入したブキャナン。開幕からローテーションを守り、ここまで6勝(12敗)、防御率3.49の成績を残している。味方の援護がなく、好投しても白星がつかないケースも多かったが、不機嫌になるようなそぶりを見せることはなかった。
石川雅規、原樹理、星知弥らが不安定な状況で、ブキャナンは安定した投球を見せ、首脳陣にアピール。来シーズンも残留が濃厚の可能性が高く、また、他球団に移籍することもなさそうだ。
2年目のルーキは、秋吉亮が故障離脱した際に守護神を務めるなどブルペンで奮闘。ここまで58試合に登板して4勝5敗、6セーブ、22ホールド、防御率2.65の成績を残し、チームにとってなくてはならない存在となった。
また、石山泰稚とともに開幕から一度も抹消されることなく献身的にブルペンを支えている。来シーズンの契約についての報道はまだ出ていないが、契約更新のオファーが出されそうだ。
ギルメットは開幕直後こそ不安定な投球を見せていたが、先発に転向すると2試合連続で好投。新たな適性を見せてくれた。今後の起用方針はわからないが、ルーキ同様に契約更新となる可能性はある。
メジャーでの実績があったオーレンドルフはすでに自由契約となり公示もされている。開幕から1カ月ほどで2軍降格となり、その後は一度も昇格することなく退団となった。
オフの楽しみのひとつである新外国人選手獲得の報道。今シーズンオフ、ヤクルトは例年以上に野手の獲得に力を注ぐことが予想される。
楽天が獲得したジョーンズやユーキリスのような大物外国人野手はやってくるのだろうか。ヤクルトは格安の外国人を連れてくるイメージが強い。しかし、かつてはホーナーを連れてきたこともあり、大物に興味がないわけではない。久しぶりに、大物外国人野手の獲得劇を見てみたい気もするが……。
(成績は9月20日現在)
文=勝田聡(かつた・さとし)