12球団でもっとも多い7選手がWBCに出場したソフトバンク。彼らのここまでの成績を見てみよう。
■武田翔太
2試合:1勝1敗/防御率5.91
■千賀滉大
3試合:2勝1敗/防御率3.60
■バンデンハーク(オランダ代表)
3試合1勝2敗/防御率2.55
■スアレス(ベネズエラ代表)
登板なし
■内川聖一
20試合:打率.348/5本塁打/19打点
■松田宣浩
20試合:打率.192/0本塁打/7打点
■デスパイネ(キューバ代表)
20試合:打率.247/2本塁打/10打点
投手陣を見ると、千賀滉大は今季初登板となった4月4日の楽天戦で4回7失点とKOされたが、その後2連勝。本調子に戻った感はある。武田翔太は右肩の違和感で2軍落ち。2連敗スタートとなったバンデンハークは20日、相性のいいロッテ戦で好投。今季初勝利を挙げたものの、まだ安心はできない。そして、スアレスはトミー・ジョン手術を受けて今季の登板は絶望となり、中継ぎが手薄となっている。
打線も内川聖一以外は本調子とはいえない。特に松田宣浩は打率.192、0本塁打と極度のスランプに陥っている。新スローガンの「1(ワン)ダホー!」をお立ち台で披露する日はいつになるのか。
2005年に日本一となったロッテが、翌春のWBCに7選手を送り出し、その影響か、2006年は4位に終わってしまった。あのときのロッテと同じ人数をWBCに送り出したと考えると、ちょっと不吉な予感がする……。
王貞治監督時代から受け継がれているのか、ソフトバンクは12球団のなかでもスタメンの入れ替えが少ないチームである。
好調のときはそれで問題はないのだが、不調のときは選手を信じて起用し続けるだけでなく、選手を入れ替えて停滞から脱却するのもひとつの方法だ。
しかし今季、ケガや不調の選手に代わって出場した選手は、攝津正、大隣憲司、寺原隼人、吉村裕基らキャリアを積んできた者ばかり。
もちろん彼らの力はこれからも必要だが、いろいろなことを試せる序盤だからこそ将来性を重視して、笠原大芽や小澤怜史、真砂勇介や栗原陵矢ら2軍で結果を出している若手を使う手もあるのではないだろうか。
現在、最下位で苦戦をしている日本ハムが、ルーキーや若手を次々起用している方針とは対照的だ。
若手起用論とは矛盾するが、嫌な流れをひっくり返す最高のカンフル剤は川崎宗則かもしれない。
2軍で11試合に出場して打率.483。工藤公康監督曰く「昇格のタイミングは本人次第」だそうだが、二塁、三塁、遊撃、左翼と4つのポジションを守り、「いつでもどこでもウエルカム」な状態だ。
昇格のXデイは背番号52にちなみ、5月2日、ヤフオクドームでの西武戦ではと噂されている。
かつてBクラス続きだった日本ハムは、2004年に札幌ドームに本拠地を移してからも巨人ファンが多かった北海道を、新庄剛志の入団でファイターズ一色に変え、2006年には日本一に輝いた。
このように川崎宗則が沈滞ムードを一変し、2年ぶりのV奪還の救世主になってほしい。某テレビ番組で「遅いよ、帰ってくるのが」とベテラン解説者に言われていたが、ムネリンがチームに渇を入れ、「あの方」から「あっぱれ」をもらえるほどの活躍を見たい。
(成績は4月24日現在)
文=溝手孝司(みぞて・たかし)
札幌在住の47歳。広告代理店運営、ライター、イベンター。生まれも育ちも北海道ながらホークスファン歴約40年。川崎といえばNPBでたった一度一塁を守った試合(2002年7月8日西武戦)を福岡で見た。まだブレイク前で「何で川崎なんて使うんだ」と文句を言うファンと「彼はこれからホークスのスターになるんで温かく見てやって」と語る見知らぬファン同士が会話していたのをふと思い出した。もう15年も前の話だ。