6月19日、ついに今シーズンが幕を開ける。しかし、当面の間は無観客。7月下旬までの日程は決まっているが、セ・パともに規約ギリギリの120試合でシーズンを行う見込みだ。
波乱の短期シーズン、どんなことが起きるのか。予想してみたい。
戦力はさておき、セ・リーグは巨人、中日、パ・リーグは西武、ソフトバンク、日本ハム、オリックスとドーム球場を本拠地とするチームが優勢になるだろう。
11月21日開幕予定の日本シリーズに向け、日程が組まれていくが、どうしても屋外球場は分が悪い。普段のシーズンでも雨天中止が重なり、「魔の連戦」になるケースがあるが、今年は確実にあると見た方がいい。
もちろん、ドーム球場が本拠地の球団もビジターで雨の被害を受けることも考えられる。となると、さらに投手陣を中心に連戦に耐えうるタフな選手層を持つチームが当然有利になってくるだろう。
また、セ・リーグはCSなしの方向で動いているが、パ・リーグは実施できるか見極めている状態だ。仮にパがCS実施に動けば、屋外球場が本拠地のロッテ、楽天にとってはかなり不利なシーズンになりそうだ。(6月15日、パ・リーグはCSファイナルシリーズ(1位と2位のチームの対戦)のみ開催することを発表した)
中止になったオールスター期間に梅雨の未消化分はクリアするだろうが、台風や秋の長雨などもある。屋外球場を本拠地とするチームのファンは天に祈るほかない。
120試合制で期待したいのは、4割打者の出現だ。“確率”は収束してゆくものだが、分母が小さければ小さいほどムラが出る。今シーズンは問題なく試合が消化されれば、規定打席数は372打席になる。
ただし、現実的にはかなり難しいだろう。今シーズンは延長10回で打ち切りが決まっているため、リリーフを思う存分に継ぎ込める。ベンチ入りも25人から26人に拡大されており、外国人枠も4枠から5枠(ベンチ入りは4枠)に増える見込みだ。
つまり、圧倒的大差にならない限りはフレッシュな投手がどんどん出てくる。また、372打席到達時点で打率を4割に乗せていたとしても、記録のための温存ができるような平時でもない。
その壁を乗り越え、4割打者が出現したとしたら、「※120試合制」の脚注など必要ないといえるだろう。ある意味では、いつもよりタフなシーズンでの達成になるからだ。
過密日程になればなるほど、厳しいのはリリーフ陣だ。選手層がいくら厚くても一線級のリリーフ投手がバテてしまっては黒星につながる。
そこで重要になるのは、やはり完投型の先発投手の存在だろう。リリーフ陣を休ませるには、完投の一手しかないように思える。
特にパ・リーグは同一カード6連戦で日程が組まれており、カード後半にもなれば、セットアッパーやクローザーに慣れてしまうこともあり得る。先発完投、もしくはショートスターターからの若手の継投などで相手の目を慣れさせない戦略が必要になってくる。
先発完投型は不在だが、昨シーズン試行錯誤を続けた日本ハムの戦略に注目したい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)