まさかの広島大失速で混戦極まるセ・リーグ。前評判を振り返ると、低評価だったのは、阪神と中日だ。
蓋を開けてみなければ……のプロ野球の世界。開幕時点では負け組と予想された2球団の序盤の戦いぶりをおさらいしてみたい。
(※成績は4月18日現在)
執筆から公開まで約1週間のタイムラグがあるが、4月18日時点で9勝7敗の2位タイ。ぶっちぎりの低評価だったことを考えれば、大健闘といえるだろう。
開幕前から不安は尽きなかった。昨季の勝ち頭であるガルシアが阪神に移籍。しぶとく勝ち星を稼いだ松坂大輔も復帰のメドが立たず、野手陣も戦力的な上積みはなし。京田陽太は不調で開幕スタメンを逃し、「5番・堂上直倫」という衝撃的なオーダーだった。
しかし、現有戦力の踏ん張りは見事だった。堂上直倫もここぞの場面での打点が目立ち、開幕スタメンを外れた京田や福田永将もすぐにエンジン全開。遠藤一星や阿部寿樹もしぶとく活躍し、うまく打線が機能している。高橋周平も輝きを放っている。
先発陣もおおむね好調な発進でローテーションは固まった。リリーフ陣では田島慎二、又吉克樹が引き続き不調だが、ロドリゲス、谷元圭介、鈴木博志がしっかりと仕事をこなしている。
まさに理想的。「現有戦力が成長した」形だ。ここからの選手層の充実次第では、誰も予想だにしなかった結果が待っているのではないだろうか。
続いて阪神を見ていこう。まずは投手陣。オリックスからFA移籍の西勇輝が早くもセ・リーグにフィットし、好投している。一方、ガルシアは3戦連続7失点KOの大乱調で2軍再調整。ローテはさっそく乱れ気味だ。
青柳晃洋が穴を埋めているが、この時期にケガ人なしで4枚しか揃っていないのは痛すぎる。やはり、西とガルシアの獲得が見えていたとはいえ、野手中心のドラフト戦略は今ひとつだったように見える。リリーフでは新外国人のジョンソンが好調だが、それならば先発投手を獲った方がよかったのではないだろうか。後ろはドリスさえいれば、やりくりできたのでは……。
オープン戦ではルーキーの木浪聖也、近本光司が好調だったが、やはり開幕からつまずいた。近本は調子を上げているが、開幕スタメンの1、2番がルーキーというのは、“ロマン”こそあるがキツい状況だった。
そもそも新助っ人のマルテが右ふくらはぎを痛めて開幕アウト。オープン戦から「ロサリオっぽさ」を見せていたが…。結局、昨季そこそこだったナバーロを起用し、そこそこの成績。正一塁手不在の悲しい春になってしまっている。4番・大山悠輔の春先低調の悪癖も重なった。これは致し方ない。
ルーキーの木浪は仕方ないにしても、北條史也も鳥谷敬も不調。遊撃も固まらない。正捕手の梅野隆太郎がバカスカ打ちまくっているのに勿体ない。
それでも大山、中谷将大、糸原健斗が復調気配でゴリゴリと打ち勝つ試合もある。不調揃いだった4月前半が「ムラの下限」と信じる価値はありそうだ。
文=落合初春(おちあい・もとはる)