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《「野球太郎ストーリーズ」ダイジェスト!》今井達也が辿った甲子園優勝までのワインディングロード


 週刊野球太郎では、本誌『野球太郎 No.021 2016ドラフト総決算&2017大展望号』の人気企画「28選手の野球人生ドキュメント 野球太郎ストーリーズ」から、厳選した9選手のダイジェストをお送りしていく。

 この特集は、2016年のドラフトで見事に指名を勝ち取った選手が辿った数奇な「野球人生」を取り上げたドキュメントだ。

 第3回で取り上げるのは、昨年の夏の甲子園の活躍で一躍時の人となった今井達也(作新学院→西武1位)。野球太郎のライター・大利実氏が執筆した、今井が甲子園の優勝投手となるまでのドラマをダイジェストで紹介しよう。

BIG3を押しのけたニューヒーロー


 昨年、54年ぶりに夏の甲子園を制した作新学院(夏の優勝は2度目)。その中心にいたのがエースの今井達也である。

 甲子園開幕前は藤平尚真(横浜)、寺島成輝(履正社)、高橋昂也(花咲徳栄)の高校生BIG3に注目が集まっていた。そんななか、初戦で151キロ、準々決勝で152キロを投げて自己記録を更新し、高校生BIG3を脇役へと追いやったのが今井だった。

 作新学院は北海を下して優勝。優勝の立役者となった今井は、その後、U-18代表に選出され、ドラフトでは西武から単独1位指名を勝ち取るなど、スターへの階段を一足飛びで駆け上がった。

 しかし、今井が聖地・甲子園にたどり着くまでの道のりは、曲がりくねった山あり谷ありのものだった。


大事なところでやらかす投手


「スピードは速いけれど、コントロールが悪い」

 これが、2年生までの今井の評価である。

 2年の夏に背番号11を背負い、その時点でストレートは140キロオーバー。しかし、コントロールを乱して、肝心なときにチームの期待に応えることができなかった。

 今井自身も制球難の原因を自覚していたが、なかなか直すことができずにいた。それが冬場のトレーニングで下半身が鍛えられたことで、3年の春に変化が訪れる。

 またチームに迷惑をかけてきたことで、「自分がやらないとダメなんだ」と自覚を持てたことも、成長に拍車をかけた。

練習嫌いから一転、研究熱心に


 先述した「3年春に訪れた変化」は、「キャッチャーが構えたところに、だいたい投げられるようになった」というもの。

 ほかにも日々のトレーニングに加え、憧れの大谷翔平(日本ハム)のフォームも研究。自身のフォームとの違いを分析し続けた。

 こうして手応えをつかんだ直後の春の栃木県大会だったが、チーム事情で一度もマウンドに上がることなく終了。勝負は夏へと移っていった。


期待以上の結果を残せる選手に変貌


 3年生になり、覚醒したかに見えた今井だったが、夏の栃木大会の投球も冴えていたわけではなかった。どちらかと言えば、甲子園の切符は打線の力でつかみ取ったようなもの。

 作新学院を率いる小針崇宏監督も、栃木大会後に、今井に厳しい言葉をぶつけた。その裏には、「甲子園は今井次第」という気持ちがあったからにほかならない。本来なら調整に当てるはずの甲子園までの期間をトレーニング期間にあてさせた。

 また甲子園の初戦を前に、対戦する尽誠学園打線対策として、小針監督は「厳しいコースを突く」ことの重要さも説いた。すると今井の体に気持ちが乗って、目の覚めるような投球を披露し始める。試合を重ねるごとに、今井の名は全国へと広まっていった。


技術も肉体も日進月歩で前へ


 甲子園でスターの仲間入りを果たした今井は、当然のようにU-18代表入り。台湾で行われたBFA U-18アジア選手権では、甲子園で投げていなかったチェンジアップを投げるなど、さらなる進化をうかがわせた。

 もちろん体格面でも、ドラフト直後の身長180センチ・体重70キロから、徐々に体重を増やして「プロの体」へシフトさせようとしている。体ができ上がったときには、一体どれだけのボールを投げるのだろう。

 目指せ、憧れの大谷翔平――。


(※本稿は『野球太郎No.021』に掲載された「28選手の野球人生ドキュメント 野球太郎ストーリーズ」から、ライター・大利実氏が執筆した記事をリライト、転載したものです。『野球太郎No.021』の記事もぜひ、ご覧ください)


文=森田真悟(もりた・しんご)

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