通常であれば、シーズン終盤になると話題になるマジックナンバー。優勝チームに点灯する数字ということはご存じだろう。しかし、実際のところはしっかり理解していない人も多いのではないだろうか。
マジックとは、2位チーム以下に「自力優勝の可能性がなくなった時」に点灯する数字のこと。
ソフトバンク:93試合
61勝29敗3分 勝率.6778 −
日本ハム:96試合
53勝42敗1分 勝率.5579 10.5差
これは昨年、初めてマジックが点灯した2015年8月5日時点の順位だ。
残り試合はソフトバンクが50試合、日本ハムが47試合。両チームの直接対決は9試合残っていた。
仮に日本ハムがソフトバンクとの直接対決も含めて、残りの試合を全勝すると……。
日本ハム: 143試合
100勝42敗1分 勝率.704
ソフトバンクが日本ハム戦に全敗して、残り全勝すると?
ソフトバンク: 143試合
101勝38敗3引分 勝率.721
日本ハムはどうやっても追いつけない。自力優勝の可能性が無いためマジックが成立する。
この時点でM(マジック)38。ソフトバンクが1勝する度に、日本ハムが1敗する度に、マジックは1つ、また1つと減り、9月17日にマジックが0となり、ソフトバンクがリーグ優勝を決めた。
ちなみにプロ野球史上、過去最速のマジック点灯は1965年シーズン。ソフトバンクの前身でもある、南海ホークスが7月6日にM62を点灯させた。
もしこの記録を抜くためにはどんなペースで勝ち続ければいいのか。7月5日までソフトバンクは予定通りいけば76試合を消化。今季のこれまで通りの勝率7割ペースで勝ち星を積み重ねると、76試合で51勝21敗4引分、勝率.708となる。
もし2位のロッテが、交流戦から7月5日までの27試合を17勝10敗で戦ったとすると、7月5日の時点では?
ソフトバンク:76試合
51勝21敗4引分 勝率.708 −
ロッテ:78試合
45勝32敗1引分 勝率.584 8.5差
残りの直接対決10試合を、ロッテが全て勝ち、残り試合をお互い全勝だった場合は?
ソフトバンク:143試合
108勝31敗4引分 勝率.776
ロッテ:143試合
110勝32敗1引分 勝率.774
ソフトバンクが優勝。数字上では、7月5日にM57の点灯する可能性がある。
もちろんソフトバンクが勝率7割ペースで勝ち続ける保証はないし、ロッテや日本ハムら、他チームの逆襲だって考えられる。
しかし、こうやって数字を並べてみると、その可能性はないとはいえない。強すぎる福岡ソフトバンクホークス。交流戦ではどんな戦いをみせてくれるのか。興味は尽きない。
文=溝手孝司(みぞて・たかし)
札幌在住。広告代理業を営みながら、ライター、イベントなどスポーツ関連の仕事もこなす。北海道生まれなのにホークスファン歴40年。6月27日は東京ドームの鷹の祭典を見に行く予定。