春季キャンプ中に川端慎吾が離脱し、暗雲が立ちこめ始めた内野陣。開幕戦の内野は一塁・畠山和洋、二塁・山田哲人、三塁・西浦直亨、遊撃・大引啓次という布陣だった。
一塁は、畠山が4月18日を最後に戦列から離れた後、昨シーズン同様に西田明央が守ったが、ほどなくして武内晋一、鵜久森淳志がローテーションで器用されている。
二塁は開幕戦から山田が出場を続けているが、三塁は西浦、谷内亮太、荒木貴裕、藤井亮太の4人が先発出場。やはり川端不在の穴は大きい。遊撃は大引がメインで守り、大引の休養時には西浦、谷内がスタメンに入る。
このように、山田以外の内野陣を固定できていないのが現状だ。
優勝した2015年は一塁・畠山、二塁・山田、三塁・川端がほぼ固定。遊撃は大引の故障離脱があったため、今浪隆博、森岡良介、西浦らが穴を埋めた
固定された3人は打撃も好調で、2番・川端、3番・山田、4番・畠山で他球団の投手陣を圧倒した。川端は、日本ハム時代に「恐怖の2番打者」として名を馳せた小笠原道大以来といってもいい「日本人の攻撃型2番打者」として君臨。山田はトリプルスリーを達成。山田との勝負を四球で避けようにも、畠山が後ろに控えるため避けられないという、まさに理想的な打線を築いていた。
内野陣の固定は打線の固定にも繋がる。2015年は山田が本塁打王、川端が首位打者、畠山が打点王と3人で打撃主要3タイトルを独占した。
昨シーズンの優勝チームである日本ハムと広島。両チームともに内野陣は固定されていた。日本ハムは一塁・中田翔、二塁・田中賢介、三塁・レアード、遊撃・中島卓也。全員が136試合以上に先発出場した。ほぼ全試合、固定メンバーで内野を守ったことになる。
しかし、今シーズンは中田が一時離脱。現在、中島も戦列を離れており内野陣の固定化できていない。大谷翔平の離脱も痛いが、それも日本ハムのネックとなっている。
昨シーズンの広島は二塁・菊池涼介、遊撃・田中広輔が固定。一塁、三塁は併用だった。とはいえ、一塁は新井貴浩、エルドレッド、三塁はルナ、安部友裕と、相手投手の「左右」などに応じて柔軟にスタメンを変更する戦略的な起用法だった。
今シーズンも、ルナが退団したものの、一塁と三塁は昨シーズン同様の起用法で上位争いを繰り広げている。
ヤクルトに話しを戻すと、ネックとなっている三塁、遊撃で若手のポジション争いが起こり、チームが上昇気流に乗る。そんな状況を交流戦、そして後半戦で見たい。
2軍で腕を磨いている廣岡大志、渡邉大樹、奥村展征ら若手が1軍に定着。そんな日を願っているヤクルトファンは多いのではないだろうか。
(成績は5月17日現在)
文=勝田 聡(かつたさとし)