2000本安打、国民栄誉賞授与式、奪三振マシン…今週の野球みどころランキング[5月8日(水)〜5月14日(火)]
『今週の野球みどころランキング』は、5月第2週ゴールデンウイークが終わり、「5月病」に襲われそうな時期に、注目度の高まっている野球関連の話題について紹介していきます。野球の楽しみで「5月病」を飛ばしてください!
最後には今後の簡単な野球界のスケジュールを添えていますので、重要事項はチェックしておいてください!
“アニマル”死去
―――訃報
4月27日、阪急でプレーしたアニマル(ブラッドリー・ジェイ・レスリー)氏がカリフォルニア州マリナ・デル・レイの病院で腎不全により死去していたことがわかりました。
在籍は86、87年のわずか2年、計7勝24セーブと取り立てて派手な成績ではありませんでしたが、投球後の雄叫びを挙げるパフォーマンスや味方選手への手荒いスキンシップが珍プレー・好プレーなどで取り上げられ、多くのファンの記憶に残る外国人選手になりました。
引退後はタレントや俳優として日本で活躍。日清食品『カップヌードル』の「HUNGRY?」というナレーションはアニマル氏が担当していました。
ご冥福をお祈りいたします。
アマチュア野球は高校野球だけじゃない!
―――アマ野球(大学・社会人)
各チームの目標、個人の目標、秋のドラフトへ向かって、高校野球が目立ち始める時期ですが、大学生も社会人も一生懸命にプレーしています。
毎シーズン最終週まで優勝も最下位ももつれるイメージが強い東都大学リーグですが、今春は1部2部とも差が開きつつあります。
1部は亜細亜大と駒澤大が勝ち点3で抜け出し、青山学院大と専修大はいまだに勝ち点を奪えず。2部は拓殖大が好調で勝ち点3、4カード目の立正大戦も初戦を勝ち、大きなアドバンテージを手にしました。先週、勝ち点が奪えないと報告した東洋大でしたが、連続で勝ち点を挙げている国士舘大に2連勝で勝ち点1に。
東京六大学は、開幕前に電撃的な監督交代があった法政大が開幕から6連勝。まだ勝ち点を落としていない明治大は今週末11,12日に東京大との対戦。追いかけるには負けられません。
その東京大は開幕6連敗で、52連敗まで伸びてしまいました。桑田真澄氏の特別コーチ就任、浜田一志監督の就任などで期待され、点差は詰まりつつありますが、勝つには至らず。
東の東大に対し、西の京都大は今春、立命館大と近畿大から1勝ずつ挙げるも、勝ち点は奪えず。しかし、現状1位と2位のチームからの白星なので、勝ち点獲得も近いはず。
また、先週お伝えできませんでしたが、4月28日に東北福祉大の高橋陽平投手が東北工業大を相手に、また5月1日は東海大九州キャンパスの山田凌祐投手が熊本大を相手に、4日にも九州産業大の浜田智博投手が九州工業大を相手に、それぞれノーヒットノーランを達成しています。
社会人野球は優勝をすれば10月から11月に開催される日本選手権の出場権が与えられる
JABA(日本野球連盟)大会がゴールデンウイーク中も行われていました。
JABA京都大会では、今秋ドラフト上位候補に名前があがる吉原正平投手や期待の若手・柿田裕太投手などの活躍で日本生命が優勝。JABAベーブルース杯はJR東海が、JABA静岡大会に続く優勝を決めました。
7日に開幕したJABA九州大会(北九州市立大谷球場、北九州市民球場)と8日から始まるJABA東北大会(仙台市民球場、石巻市民球場、Kスタ宮城)が現在開催されています。両大会とも11日(土)に準決勝、決勝が行われる予定です。
“打高”の環境でも台頭するルーキーと出遅れチームの補強戦略に注目
―――NPB
4月を終え、今シーズンのNPBの大きなトレンドが見えてきた感じがします。“投高打低”が転換。打率は上昇し、本塁打も増加傾向に。象徴的なのはブランコ(DeNA)で、ここまで33試合で17本塁打。そのうち9本を横浜スタジアムで打っており、本拠地球場の変化がプラスに働いています。
パ・リーグでは中田翔が現在パ最多の42安打、2位の8本塁打。5月3日の楽天戦では、1試合3本塁打を記録するなどパワーと確実性でレベルアップを果たしています。三振も22とレギュラー定着後最少ペースです。
そして、打者が元気な状況ながら、結果を残してきているルーキー投手たちの奮闘もトレンドでしょう。4月の新人投手の総勝利数は15でドラフト制度確立後最多。ここまで菅野智之(巨人)が4勝、小川泰弘(ヤクルト)、藤浪晋太郎(阪神)が3勝をマークしています。後から見たとき、球界の顔が一新したと言われるような1年になるのかもしれません。
これからは戦力バランスを崩した球団の補強の動きにも注目したいところ。館山昌平らの離脱で先発投手が足りないヤクルトは、外国人投手を補強する動きを見せています。4月29日のDeNA戦では松岡健一が6年ぶりに先発し4年ぶりの勝利を挙げるなど、スクランブル状態が続いているヤクルトは、安定感を取り戻せるのでしょうか。
日本人先発投手、過去最高の安定感?
―――MLB
日本人の先発投手が、メジャーの舞台でこれだけそろって活躍しているシーズンは過去になかったかもしれません。総合力のダルビッシュ有(レンジャーズ)、防御率1.61が光る安定感の岩隈久志(マリナーズ)、悪くても工夫で勝つ黒田博樹(ヤンキース)と持ち味の違う3投手は、4月を投げ抜き、好調を維持。
ゴールデンウイーク期間中は、1日、黒田がアストロズから勝利。5日にはダルビッシュと岩隈が先発し、ダルビッシュはレッドソックス戦で7回14奪三振。勝敗はつきませんでしたが、奪三振数を72としてア・リーグ独走状態に。岩隈はブルージェイズを7回1失点に抑え3勝目を挙げています。
インディアンスのマイナーでチャンスを待ってきた松坂大輔は4月29日の試合で左脇腹を痛め故障者リスト入り。噂されていた昇格をふいにしました。同じくマイナーで調整を進めてきた中島裕之(アスレチックス)は3日、左太もも裏のケガからの復帰戦に出場。しかし走塁時に異常があったとして、再検査することになっています。微妙なコンディションをトレーナーに言葉で伝えることに苦労している様子。活躍する3投手とは対照的に、松坂と中島には苦難の日々が続きます。
松井秀喜、東京ドームで引退セレモニー
――― NPB
5日、東京ドームで行われた巨人vs広島戦に先立ち、松井秀喜氏の引退セレモニーが行われました。松井氏は黒いスーツにストライプのシャツ、水玉のネクタイで登場。
「これからも僕の心の中には常にジャイアンツが存在し続けます。どういう形か分かりませんが、またいつか皆さまにお会いできることを夢見て、また新たに出発したいと思います」とスピーチを締め、松井が在籍した1993年から2002年の10年間、巨人を指揮した長嶋茂雄読売巨人軍終身名誉監督とともに、オープンカーで場内を一周しました。
その後、両者に贈られることが決まっていた国民栄誉賞の授与式へ。初となる首相官邸以外での式を終えると、ユニフォームに着替えた松井氏がグラウンドに登場。長嶋終身名誉監督が打席に入り、捕手は原辰徳監督が務める豪華な始球式が行われました。
桐光・松井が関東大会へ
―――高校野球
高校野球春季大会はゴールデンウイーク中に次の16県で決勝が行われました。※( )内は優勝校
【関東】
茨城(霞ヶ浦)、栃木(佐野日大)、群馬(前橋育英)、埼玉(浦和学院)、千葉(東海大望洋)、神奈川(桐蔭学園)、山梨(山梨学院大附)
【北信越】
富山(富山第一)、福井(敦賀気比)
【東海】
静岡(常葉学園菊川)、愛知(春日丘)
【近畿】
滋賀(近江)、兵庫(神戸国際大付)
【中国】
岡山(岡山理大付)、鳥取(米子北)、島根(開星)
神奈川県大会では、桐光学園・松井フィーバーが最後まで続きました。桐光学園は3日、準決勝の日大藤沢に11対1でコールド勝ち。松井裕樹は5回12奪三振という驚異的なピッチングを見せました。コールドゲームでなかったら、どこまで三振数が伸びたのでしょうか。これで関東大会への出場が決まったこともあり、5日の桐蔭学園との決勝に松井は登板せず。
3日は松井を目当てで集まったファンで、保土ヶ谷球場は満員差し止めになりましたが18日(土)〜22日(水)に開催される関東大会も相当な客入りが予想されます。なお、桐光学園の初戦の相手は花咲徳栄(埼玉)。19日、宇都宮清原球場で14時からの予定です。
また、四国大会は鳴門市のオロナミンC球場で決勝戦がありました。
鳴門(徳島1位)と尽誠学園(香川1位)の試合は、尽誠学園が9回表に逆転し4-3で勝利。センバツで活躍した済美(愛媛)や高知(高知)以外の二県が決勝に進む、四国のレベルの高さを示す大会になりました。
今週末から来週にかけて準決勝・決勝を迎えるのは、次の5府県。熱戦を観に出かけてみてはいかがでしょう。
石川(11日準決勝、12日決勝 石川県立野球場)
新潟(11日準々決勝、12日準決勝、13日決勝 長岡市悠久山野球場など)
長野(12日準々決勝、13日準決勝、14日決勝 諏訪湖スタジアムなど)
大阪(11日準決勝、12日決勝 舞洲ベースボールスタジアム)
奈良(11日準決勝 12日決勝 佐藤薬品スタジアム[奈良県立橿原公苑野球場])
中村紀と谷繁が2000本安打達成
――― NPB
DeNAの中村紀洋が5日に、中日の谷繁元信が6日にそれぞれ2000本安打を達成しました。中村は20年/2162試合目/8635打席、谷繁は24年/2803試合/9692打席での達成となります。またそれぞれ史上42人目、43人目の記録。
中村は所属球団の合併や、すっきりとしないメジャー挑戦、契約先の見つからない浪人時代などを経験しながら復活。奔放な性格が誤解を招くこともありましたが、粘り強く現役を続け達成した大記録は、ファンの記憶にも残るものだと思います。
谷繁は42歳4カ月という最年長での記録達成、捕手としては野村克也、古田敦也に続く史上3人目の記録達成という希少性があります。
捕手はそう簡単にトップレベルの選手が生まれないポジションであり、中日の現状を考えると、谷繁が現役を続けられる環境はまだ続くと思われます。野村克也の通算最多出場記録3017までは残り214試合ですが、その達成は十分あり得そうです。
ゴールデンウイークが終わってしまい、次の祝日は7月の海の日、その間には梅雨が…、と世間的には憂鬱な感じを抱いてしまう日々になりそうですが、野球はずっと続きます。野球を楽しみに、これからも頑張っていきましょう!
<<野球界の主なスケジュール>>
女子プロ野球関連
5月11、12日 『ティアラカップ東大阪大会』@花園セントラルスタジアム 両日とも第1試合が11時、第2試合が13時半試合開始予定
アマチュア野球スケジュール
3月下旬〜 春季高校野球都府県大会
5月11、12日に決勝を迎えるのは以下の府県。
石川、長野、新潟、大阪、奈良
4月下旬〜6月上旬 春季高校野球地区大会
◎九州大会(サンマリンスタジアム宮崎)優勝校:久留米商(福岡)
◎四国大会(オロナミンCスタジアムほか)優勝校:尽誠学園(香川)
5月18日(土)から5日間:関東大会(宇都宮清原球場ほか)
5月24日(金)から3日間:東海大会(四日市市営霞ヶ浦球場ほか)
5月25、26日、6月1、2日(ともに土、日):近畿大会(佐藤薬品スタジアム)
5月27日(月)から7日間:北海道大会(札幌円山球場)
6月1日(土)から3日間:中国大会(松江市営野球場)
6月1日(土)から4日間:北信越大会(石川県立野球場ほか)
6月6日(木)から5日間:東北大会(荘内銀行・日新製薬スタジアムほか)
大学野球開幕
第62回全日本大学野球選手権大会 6月11日〜(6日間)
社会人野球・日本選手権対象試合
5月7日から5日間 JABA九州大会(北九州市立大谷球場、北九州市民球場)
5月8日から4日間 JABA東北大会(仙台市民球場、石巻市民球場、Kスタ宮城)
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