■近江(滋賀、3年ぶり5回目)
秋季近畿大会ベスト4。今年の近江はなんといっても投手の層の厚さが光る。金城登耶(新3年)、林優樹(新2年)の両左腕に、サイドスロー右腕の松岡裕樹(新3年)、速球派の佐合大輔(新3年)と実戦派の4人が揃う。
打線では2年前の夏の甲子園で「1年生4番」として注目を集めた北村恵吾が引き続き中軸を務め、甲子園での一発を狙う。
■彦根東(滋賀、9年ぶり4回目)
秋季近畿大会ベスト8。注目は昨夏も甲子園のマウンドに立ったエース左腕・増居翔太(新3年)。近畿大会準々決勝で近江に敗れたものの、完投で3対4の好スコアを創出し、センバツ切符を手繰り寄せた。
なお、彦根東は文武両道の伝統校で選手は勉強にも熱心。昨夏の甲子園では雨天順延時に「放っておいたら勉強してしまう」と村中隆之監督が異例の1日勉強禁止令を発表。試合への集中を高めた。
■乙訓(京都、初出場)
近畿大会ベスト4で初の甲子園。近年は京都大会で上位勢の壁にぶち当たっていたが、昨秋は優勝。近畿大会では神港学園、智辯学園を相次いで撃破し、準決勝では智辯和歌山と4対5の接戦を演じた。初出場とは思えない実力を秘めている大穴校だ。
右の川畑大地(新3年)、左の富山太樹(新3年)が投手陣を支える。両者ともに140キロ級のストレートを投げ、強豪校にも引けをとらない。
甲子園出場に際して所在の長岡京市では「ふるさと納税」で寄付金を募っている。
■大阪桐蔭(大阪、4年連続10回目)
近畿大会優勝。明治神宮大会ベスト4。言わずと知れた超名門。今年は最強世代との呼び声も高い。
最速148キロ右腕の柿木蓮、最速144キロ左腕の横川凱、プロ注目の三刀流・根尾昂、強打の三塁手・中川卓也、恐怖の先頭打者・藤原恭大(いずれも新3年)など、超高校級のメンバーが揃う。
昨秋の新チーム結成時は3年生が抜けた不安も囁かれていたが、蓋を開ければ、神宮大会の準々決勝まで公式戦12試合のすべてが2失点以内の安定感。準決勝の創成館戦は4対7で敗れたが、さすがの実力を見せつけた。
■智辯学園(奈良、3年連続12回目)
近畿ベスト8で3年連続センバツに滑り込み。エース左腕・伊原陵人(新3年)の快投に注目したい。最速135キロながら「そう見えないストレート」で近畿大会1回戦では西脇工を相手に14奪三振。不思議なドクターKに目を奪われたと語る高校野球ファンも多い。
■智辯和歌山(和歌山、4年ぶり12回目)
近畿大会準優勝。名将・高嶋仁監督は通算37度目の甲子園で出場回数単独トップに立つ。
今春の智辯和歌山は大阪桐蔭に匹敵するタレント揃い。最速144キロ右腕の平田龍輝と捕手・東妻純平のバッテリーはプロ注目。打線も林晃太、文元洸成、冨田泰生(いずれも新3年)は長打力を秘めている
部員数が1学年10人程度という少数精鋭制の智辯和歌山では下級生の活躍もカギを握る。注目は黒川史陽(新2年)。1年春からスタメンを張る好打者で、秋の公式戦では打率.437をマークしている。
■膳所(滋賀、59年ぶり4回目)
滋賀県大会ベスト8。準々決勝では優勝校の近江を相手に1対3の接戦。近畿大会で滋賀勢の近江、彦根東が成績を残すなかで膳所の健闘が評価される一方、地域性の観点から出場が危ぶまれたが、大逆転で甲子園切符を手に入れた。
なお、膳所は「ぜぜ」と読む。
前述の彦根東は進学校として知られるが、膳所も偏差値70オーバーで、滋賀県トップの超進学校。データ班が打球傾向などを分析し、大胆なシフトを敷く「データ野球」が持ち味だ。甲子園でも頭脳を駆使した戦いを発揮できるか。
文=落合初春(おちあい・もとはる)