『野球太郎』がロッテの補強ポイントに挙げたのは「枚数が足らない左投手」、「左投手をもう一枚!」、「右打ちのスラッガータイプ」、「高校生投手」だった。「枚数が足らない左投手」から順に指名結果を見ていこう。
今季、左投手の勝利数がわずか5勝に終わったロッテ。となると、やはり左投手が欲しい。
今年のドラフトでは、4位で左腕の土肥星也(大阪ガス)を指名。186センチの長身から繰り出される最速147キロのストレートには威力抜群。また、スライダー、チェンジアップ、カーブを織り交ぜたピッチングで打者を惑わす投球術も備えている。
化ける可能性も秘めた投手で、無事に頭角を現せば長い年数、先発として活躍できる。
もっと左投手を補強したいところだったが、今回のドラフトで指名された左投手は土肥のみだった。その一方で右投手は合計5人を指名している。チーム方針として、人数のバランスを取るよりも評価している投手を獲得する方針だったと推測する。
今季、2ケタ本塁打を放ったのはデスパイネ、ナバーロのみ。日本人選手で2ケタ本塁打を記録した選手はいない。この長打力不足を象徴するかのように、チーム本塁打数はリーグ最下位だった。
また、チームの若い右打者は、捕手を除くと24歳の中村奨吾。この状況も考えると、若い右打ちのスラッガータイプを指名したいところだったが、指名した右打者は7位・宗接唯人(亜細亜大)のみ。パンチ力があると評価されているが、大学時代にリーグ戦で放ったホームランはゼロ。スラッガータイプとは言い難い。
高校生投手では3位で島孝明(東海大市原望洋高)、6位で種市篤暉(八戸工大一高)を指名。
島、種市ともに将来が楽しみな素材型。島は、甲子園出場こそないものの、侍ジャパンU-18代表に選出された注目株。すでにストレートの最速は153キロを記録している。種市もストレートの最速は148キロと速球派。順調に2人が育てば、投手陣の将来は明るい。
《総合評価》80点
選手層のバランスを整えるよりも、「いいと思う選手」を優先して指名した印象のロッテ。史上初の「外れ1位で5球団競合」となった佐々木千隼(桜美林大=写真)の交渉権を引き当てたのは大きな成果だ。来季、佐々木が1軍の先発ローテーションで活躍している可能性は高い。
また、2位・酒居知史(大阪ガス)と5位・有吉優樹(九州三菱自動車)の評価も高い。
酒井は昨季、社会人1年目ながら都市対抗野球で2勝を挙げ、久慈賞と若獅子賞を受賞。今季は調子を落とし苦労した印象だが、本来の投球を取り戻せば、即戦力として期待できる。
有吉は大人の駆け引きができる投手。最速148キロのストレートと、コントロールされたスライダーとチェンジアップで勝負する。ロッテ首脳陣も1年目から先発ローテに食い込める力があると考えているだろう。
野手の指名数が少ないのは、チームの状況にマッチしていないと感じる。ただ、今回は「投手力の強化」という戦略で割り切ったようだ。
文=山岸健人(やまぎし・けんと)