チームの低迷とともに、その存在感も薄まってしまった近藤健介(日本ハム)。腰痛で登録抹消となる6月11日までは安打を量産し、打率.407(150打数61安打)だったことを忘れてはいけない。シーズン前半だったとはいえ、史上初となる4割打者の誕生の夢を見せてくれた。
6月28日に脊椎内視鏡手術(腰椎椎間板ヘルニア摘出術PED法)を行い、そこからリハビリを経て、すでに9月12日の2軍の試合で実戦復帰を果たしている。同18日には9打席目にしてようやくのヒットも放っており、順調に回復しているようだ。
今季中の1軍再昇格は微妙なところだが、チーム成績が残念な状態でもあり無理は禁物。いずれにしても、規定打席に達しての4割超えは来季以降に持ち越しだ。
3月のWBCの壮行試合(キューバ戦)で左ヒジに死球を受け骨折。長期の休養を余儀なくされた森友哉。今季の初戦は8月15日の楽天戦までずれこんだが、その試合で「7番・DH」として先発出場すると、第1打席の初球をいきなり強振しセンター前にクリーンヒット。ブランクを感じさせない豪快なスイングを見せた。
その後も、安定感のあるバッティングを続け、ここまで打率.333(105打数35安打)とさすがの数字を残している。
森の場合は、何といっても守備面の向上だろう。辻発彦監督は、就任当初から捕手起用の方針を打ち出しているが、昨季までの森は、捕手出場時に心身の負担からか打撃の調子を落とすことがあった。打てて守れる捕手としての地位を確立できれば、向こう10年、西武の扇の要は安泰となるのだが…。
ほかにも、鶴岡慎也(ソフトバンク)が打率.321(28打数9安打)、坂田遼(西武)が打率.400(15打数6安打)、肘井竜蔵(ロッテ)らが打率.375(8打数3安打)と、打数は少ないながらも現在の首位打者である秋山を上回る打率を記録している。
とくに鶴岡は、甲斐拓也の台頭で出番は減っているが、緊急時の守備固め、大事な場面での代打として開幕からずっと1軍ベンチでスタンバイしている。今季3本塁打とパンチ力も秘めており、ポストシーズンでも力を発揮できるか注目したい。
(成績は9月25日現在)
文=藤山剣(ふじやま・けん)