バスケットボールの「トリプルダブル」は、1試合での判断指標。だが、プロ野球においては1シーズンで定義した。
そのうえで代打、代走、守備固め。それぞれが1シーズンで2ケタ起用されれば「トリプルダブル(仮)としたい。代打に立てる「打力」、代走で試合を左右する「走力」、守備要員としての高い「守備力」。これらがそろってこそ「トリプルダブル(仮)」達成といっていいだろう。
走攻守揃っている控え選手は、各球団そう多くない。自分の贔屓チームを思い浮かべて欲しい。代打の切り札や、代走のスペシャリストの名はすぐに挙がるだろう。
しかし、代打、代走、守備固めのすべてで途中出場できる選手はなかなか思い浮かばないのではないだろうか?
参考までに昨シーズンの「トリプルダブル(仮)」達成者を紹介しよう。
《代打/代走/守備交代(途中出場数)》
大和(阪神) 10/24/24
俊介(阪神) 34/23/36
野間峻祥(広島) 20/24/45
三輪正義(ヤクルト) 11/27/37
高田知季(ソフトバンク) 17/10/18
福田秀平(ソフトバンク) 10/19/20
杉谷拳士(日本ハム) 13/14/14
岡田幸文(ロッテ) 13/22/35
脇谷亮太(西武) 16/13/35
達成者は12球団でわずか9人。昨シーズンは両リーグ合わせて3割打者が8人だったので、「トリプルダブル(仮)」は3割打者くらい希少なのだ。
今シーズンの「トリプルダブル(仮)」候補者を紹介しよう。
《代打/代走/守備交代(途中出場数)》
比屋根渉(ヤクルト) 15/15/9
西川龍馬(広島) 12/6/14
比屋根はバレンティンの代走、守備固めで出ることが多い。ゆえに数字を伸ばしやすいのだろう。しかし「オンドルセク(ヤクルト)ブチ切れ事件」の発端となる後逸をしてしまっただけに、今後、守備固めの機会は減ってしまうかもしれない…。
新人ながら開幕1軍入りを果たした西川も代打、守備はクリア。あとの課題は代走のみだ。広島には代走のスペシャリスト・赤松真人がいるが、数字を伸ばせるだろうか。
筆者が独断で定義した「トリプルダブル(仮)」はいかがだろうか。トリプルスリーのような派手さはない。もとより、レギュラーだと絶対に達成できないのがこの数値だ。
だが、控え選手にスポットライトを当てる記録も、野球を楽しむ上では欠かせない。やはり、野球はチームでやるスポーツなのだから。
文=勝田 聡(かつた さとし)
松坂世代のひとつ上にあたりサッカーの黄金世代となる1979年生まれ東京育ち。プロ野球、MLB、女子プロ野球、独立リーグと幅広く野球を観戦。 様々な野球を年間約50試合現地観戦し写真を撮影する。プロ野球12球団のファンクラブ全てに入会してみたり、発売されている選手名鑑を全て購入してみたりと幅広く活動中。