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【プロ野球・渡り歩いた球団数対決】斎藤隆(楽天)vs. ?橋尚成(DeNA)

 実力の世界といわれるプロ野球界。1年でクビになる選手もいれば、長年同じチームで存在感を示すミスター○○もいる。

 そんなプロの世界ではベテランであってもその球歴はさまざまだ。華々しく、または実直にチームの顔となっているベテランもいれば、その実力を求められ、チームを渡り歩く仕事人もいる。

 安定した環境が約束される“チームの顔”と比べ、己の実力を武器に球界を生き抜いてきたベテランはさまざまな環境を生き抜いてきた“苦労人”と言うこともできるだろう。

 プロスポーツで移籍を繰り返す選手のことを英語では、「ジャーニーマン」と言う。直訳すれば「旅人」だが、その単語には“多くのチームから必要とされる男”“流しの仕事人”などの畏敬の念が込められ、好意的なシーンで用いられている。

 今回、実力と経験を武器に日本プロ野球界で活躍するジャーニーマンを紹介したい。

36歳から怒涛の移籍・斎藤隆


横浜→ロサンゼルス・ドジャース→ボストン・レッドソックス→アトランタ・ブレーブス→ミルウォーキー・ブルワーズ→アリゾナ・ダイヤモンドバックス→楽天(7球団)

 現役の日本人選手で最も移籍を繰り返したのが斎藤隆(楽天)だ。今年で45歳になった大ベテランは日本とアメリカをまたにかけ、なんと7球団に在籍した経歴を持つ。特にメジャーリーグ時代は4回の移籍を経験。大家友和(現BCリーグ富山)の5回に次いで、日本人歴代2位の移籍回数となっている。

 今でこそ、元メジャーリーガーの印象が強い斎藤だが、思い起こせば横浜からドジャースに移籍したのは、2006年、36歳になる年だった。

 エースや守護神として横浜で活躍していた斎藤だが、メジャー挑戦前の3年間は思うような結果が残せていなかったこともあり、ファンの反応は今ひとつ。「通用するわけない」という最悪の下馬評からのスタートだった。

 しかし、開幕直後にメジャー昇格を果たすと、セットアッパーとして好調をキープし、5月にはクローザーに昇格。この年、斎藤は24セーブを記録して、球団の新人セーブ記録を更新した。36歳のオールドルーキーは一気にメジャーの大舞台で注目の的となった。

 そこからも安定した成績を残した斎藤は、やがてオフ市場の注目選手に。高齢で単年契約だった事情もあり、2009年にレッドソックスに移籍してからは2012年まで毎年移籍を繰り返した。

 “超”が付くほど経験豊富なリリーバーは、1軍でも2軍でも楽天のブルペンで待機する。試合のマウンドに上る場面は少なくなってくるかもしれないが、松井裕樹をはじめとする若い投手たちに、経験や心構えを伝授しているのだろう。


どこでも投げられるサウスポー・?橋尚成


巨人→ニューヨーク・メッツ→ロサンゼルス・エンゼルス→ピッツバーグ・パイレーツ→シカゴ・カブス→DeNA(6球団)

 ?橋尚成も6球団に在籍した現球界きってのジャーニーマンだ。2000〜2009年の間、巨人で左の先発の柱として活躍してきた。明るいムードメーカーとして巨人にフィットしていた?橋尚成だが、海外FA権を取得するとファンも周囲も驚きのメジャー挑戦を発表。巨人を終の棲家にしないという決断を下した。

 メッツとマイナー契約を結んだ?橋尚成は開幕ロースターに滑り込むと、先発にクローザーにとチーム事情に合わせてマウンドに上がり、メジャー1年目から10勝を挙げる。2年目以降もいろんな場面に対応できるリリーバーとして、欠かせない存在となった。

 誰が見てもスゴいボールはなく、迫力があるわけではないが、巨人でもメジャーでも活躍できたのは、キレもコントロールもあるボールを投げられるとともに、先発もリリーフもできるサウスポーであったからだ。どのチームにもそんな投手が必要だからこそ、?橋尚成は多くのチームで活躍してきたのだ。NPBに復帰して2年目、まだ結果に現れてこないが、ジャーニーマンらしい、いぶし銀の働きを見せたい。

外国人ジャーニーマンにも注目!


 日本にやって来る外国人選手にもジャーニーマンは多い。その筆頭が今季、40歳にして開幕4連勝を成し遂げたケニー・レイ(楽天)だ。

 レイはメジャーリーグをはじめ、米独立リーグ、台湾、メキシコ、そして楽天など14球団に在籍(移籍は19回)。野球で世界を駆け巡るハングリー精神は、40歳になっても衰えない投球に如実に表れている。


■プロフィール
落合初春(おちあい・もとはる)/1990年生まれ、広島県出身。編集者。大学時代から編集プロダクションで勤務し、野球や歴史の媒体制作に携わる。元プロレスレフェリー。

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