3連覇中の広島が、開幕からまさかの出遅れで混沌としてきたセ・リーグのペナントレース。巨人、阪神、中日と、伝統の3球団の指揮官が今季から替わり、戦い方にも変化が見られる。前回のパ・リーグ編に続き、今回はセ・リーグ各球団の開幕スタメンを見ながら、シーズン最序盤の4月18日までの状況をチェックする。
■広島の開幕オーダー
1(遊撃)田中広輔
2(二塁)菊池涼介
3(左翼)西川龍馬
4(右翼)鈴木誠也
5(一塁)松山竜平
6(中堅)野間峻祥
7(捕手)會澤翼
8(三塁)安部友裕
9(投手)大瀬良大地
2年連続セ・リーグMVPの丸佳浩がFAで巨人に移籍し、広島打線の看板だった「タナキクマル」が消滅。開幕カードの巨人3連戦で5安打と当たっていた田中広輔が4月に入って調子を落としたこともあって、打線の活気が失せている。
新戦力として期待された長野久義も6番・左翼でたびたびスタメン起用されるも、空気を変えるようなパフォーマンスは見せられていない。3試合目から3番に入っている野間峻祥は4月半ばまで打率3割をキープし奮闘しているだけに、菊池涼介、鈴木誠也、松山竜平らムードメーカーたちの爆発的活躍が求められる。
■ヤクルトの開幕オーダー
1(一塁)坂口智隆
2(中堅)青木宣親
3(二塁)山田哲人
4(左翼)バレンティン
5(右翼)雄平
6(三塁)村上宗隆
7(遊撃)廣岡大志
8(捕手)中村悠平
9(投手)小川泰弘
昨シーズンは、セ・リーグの打率ベスト10に青木宣親、雄平、坂口智隆、山田哲人の4人が入り、バレンティンは打点王を獲得。その5人がずらりと並ぶオーダーは圧巻だ。それだけに、3月31日の阪神戦で、死球による左手親指骨折してしまった坂口の戦線離脱は痛い。それでも、安定感は不足しているが長距離砲として覚醒気配の村上宗隆、坂口の代役として1番に入っている太田賢吾ら若手が奮闘中。投手陣の頑張り次第では、昨シーズンの2位以上も狙えそうなオーダーが実現している。
■巨人の開幕オーダー
1(二塁)吉川尚輝
2(遊撃)坂本勇人
3(中堅)丸佳浩
4(一塁)岡本和真
5(右翼)陽岱鋼
6(左翼)亀井善行
7(三塁)田中俊太
8(捕手)小林誠司
9(投手)菅野智之
開幕からの11試合は、1番から4番までは固定メンバー。吉川尚輝が腰痛で離脱した4月中旬以降は、坂本勇人と丸佳浩を1、2番に置き、3番・ビヤヌエバ、4番・岡本和真、5番・ゲレーロ(または亀井善行)と、上位打線はリーグ屈指の強力打線となっている。激戦が予想された捕手のポジション争いは、小林誠司が開幕スタメンに起用されたが、2戦目には炭谷銀仁朗、さらには打力を買われて大城卓三もマスクをかぶっている。阿部慎之助も捕手登録だが、現状は代打の切り札という位置づけだ。
■DeNAの開幕オーダー
1(中堅)梶谷隆幸
2(右翼)楠本泰史
3(二塁)ソト
4(左翼)筒香嘉智
5(三塁)宮崎敏郎
6(一塁)ロペス
7(捕手)伊藤光
8(遊撃)大和
9(投手)今永昇太
故障明けながらパンチ力がある梶谷隆幸が1番に抜擢されたが、まだ本調子には遠かった。梶谷に代わって6試合目から1番に入っている2年目の神里和毅は好調で、しばらくはそのオーダーでいきそう。ソト、筒香嘉智、ロペス、宮崎敏郎ら中軸が持ち味を出せれば、得点力はほかに見劣らない。開幕投手を努めた今永昇太、5戦目に先発した濱口遥大が、昨シーズンの不振から立ち直りつつあるのは好材料だ。
■中日の開幕オーダー
1(右翼)平田良介
2(中堅)大島洋平
3(左翼)アルモンテ
4(一塁)ビシエド
5(遊撃)堂上直倫
6(三塁)高橋周平
7(二塁)阿部寿樹
8(捕手)加藤匠馬
9(投手)笠原祥太郎
昨シーズン後半は1番に起用されることが多かった平田良介、足のある大島洋平が揃って好調。3試合目からは、この両者の間に、開幕オーダーに名前がなかった京田陽太が入り打撃好調。4番のビシエドも安定感がある。6番にほぼ固定されている高橋周平も好調なので、昨シーズン、打率.321と当たっていたアルモンテがスランプから脱すれば、怖い打線となる。
開幕1軍、さらには京田との遊撃のポジション争いも注目されたドラ1ルーキーの根尾昂は、故障が重なったこともあって、まだ1軍デビューを果たせていない。
■阪神の開幕オーダー
1(遊撃)木浪聖也
2(中堅)近本光司
3(右翼)糸井嘉男
4(三塁)大山悠輔
5(左翼)福留孝介
6(一塁)ナバーロ
7(二塁)糸原健斗
8(捕手)梅野隆太郎
9(投手)メッセンジャー
ルーキーの木浪聖也と近本光司を1、2番に据えて開幕を迎えた阪神。しかし、このフレッシュコンビは5試合で解消。とくに木浪は打順を下げて使われてはいるものの、打率は伸び悩み、怠慢走塁による懲罰交代もあった。内野のユーティリティーとして使い勝手のいい選手だけに、ルーキーらしい前向きなプレーが期待されるところ。昨シーズン終盤から4番には大山悠輔が座るが、まだまだ迫力不足。大山の前後での糸井嘉男、福留孝介のフォローが欠かせない印象だ。それだけに調子が上がらない福留の復調が待たれる。
文=藤山剣(ふじやま・けん)