「第1巡選択希望選手」の声で幕を開けたドラフト会議。パ・リーグ最下位のロッテの指名から始まり、ヤクルト、日本ハムと3球団連続で清宮を指名。4球団目の中日が中村奨成(広陵高)を指名し、清宮以外の名前が初めて響き渡る。続くオリックスが田嶋大樹(JR東日本)を事前報道通りに指名。DeNAが東克樹(立命館大)、西武が田嶋を指名し、オリックスと競合となる。広島が事前報道通りに中村を指名して中日と競合となった。
1巡目は清宮がロッテ、ヤクルト、日本ハム、巨人、楽天、阪神、ソフトバンクの7球団競合、田嶋がオリックスと西武、中村が中日と広島の2球団競合。東がDeNAの単独指名となった。
7球団競合となった清宮は、「くじ引き役をクビ」となった栗山英樹監督に代わり、木田優夫GM補佐が大役を任された日本ハムが当たりくじを引き当てた。ダルビッシュ有(現レンジャーズ)、中田翔、大谷翔平と高卒選手を大成させた日本ハムが、どのように清宮を育てるのか注目が集まる。
田嶋はオリックス、中村は広島がそれぞれ当たりくじを引き、交渉権を獲得。唯一の単独指名となったDeNAは即戦力左腕の東を獲得し、今永昇太、石田健大、濱口遥大らと左腕王国を築くことに期待がかかる。
◎外れ1位でも多数の重複が発生
清宮、田嶋、中村の抽選に外れた8球団による「外れ1位」ではまたしても重複指名が発生した。村上宗隆(九州学院高)にヤクルト、巨人、楽天の3球団。安田にロッテ、阪神、ソフトバンクの3球団。西武は齊藤大将(明治大)、中日は鈴木博志(ヤマハ)を指名した。
結局、村上はヤクルト、安田はロッテがそれぞれ抽選の末に交渉権を得る。
巨人、阪神、楽天、ソフトバンクの4球団が「外れ外れ1位」を指名。巨人は鍬原拓也(中央大)、楽天は近藤弘樹(岡山商科大)と即戦力が期待される大学生投手の交渉権を獲得。阪神とソフトバンクは馬場皐輔(仙台大)で3度目の重複となる。ここでようやく金本知憲監督に笑顔が訪れ、馬場の交渉権を獲得。最後に残ったソフトバンクは素材型の吉住晴斗(鶴岡東高)をサプライズ指名。これで12球団の各1位指名選手が確定した。
■各球団1位指名選手
広島:中村奨成(広陵高)
阪神:馬場皐輔(仙台大)
DeNA:東克樹(立命館大)
巨人:鍬原拓也(中央大)
中日:鈴木博志(ヤマハ)
ヤクルト;村上宗隆(九州学院高)
ソフトバンク:吉住晴斗(鶴岡東高)
西武:齊藤大将(明治大)
楽天:近藤弘樹(岡山商科大)
オリックス:田嶋大樹(JR東日本)
日本ハム:清宮幸太郎(早稲田実)
ロッテ:安田尚憲(履正社高)
意外にも「外れ1位」で村上に3球団が競合するなどの小波乱があった1巡目指名が終わり、しばしの休憩をはさんでウエーバーによる2位以下の指名が始まった。
甲子園未出場ながら高校生ナンバーワン投手とも囁かれた石川翔(青藍泰斗高)は中日、150キロを超えるストレートが武器の山口翔(熊本工高)は広島がそれぞれ指名。両球団の高校生の素材型投手を大きく育成する意思を感じた指名となった。
2位では慶應義塾大のエルドレッドこと岩見雅紀を楽天が指名。
3位以下の指名に進む。
注目の高校生では、増田珠(横浜高)がソフトバンク3位、甲子園優勝投手の清水達也(花咲徳栄高)が中日4位で指名される。
大学生に目を向けると侍ジャパン大学日本代表のトップバッター・島田海吏(上武大)が阪神4位。指名漏れかと思われた宮台康平(東京大)は日本ハムが7位で指名。13年ぶりに東大からプロ野球選手が誕生することになった。
社会人では田中広輔(広島)の実弟である田中俊太(日立製作所)が巨人5位で指名されている。
駆け足で主立った選手の指名を紹介したが、2017年ドラフトにおける注目はやはり清宮だった。しかし、プロに入ってしまえばアマチュア時代の知名度は関係ない。指名順位、注目度に関係なく、今ドラフトで指名された選手たちには長きにわたって第一線でプレーすることを切に願うばかりだ。
文=勝田聡(かつた・さとし)