プロ野球のペナントレースもいよいよ大詰めを迎えている。ここにきて優勝争いやクライマックスシリーズ出場争い、さらには個人タイトル争いが激しくなってきた。
そんななかでも週刊野球太郎では「野球太郎的成功&失敗の法則」をお届けしたい。
今シーズンのセ・リーグペナントレースは混戦模様だったが、ようやくフィナーレを迎えそうだ。原辰徳監督が再々登板となった巨人が2014年以来、5年ぶりとなるリーグ優勝を目前にしている。もしかしたら、この原稿が公開される頃にはすでに優勝を決めているかもしれない。
そのチームを引っ張ってきたのが主将の坂本勇人だ。今シーズンの坂本は丸佳浩の加入もあり、打順がなかなか固定されなかった。そのなかでも結果をしっかりと残し、自己最多となる36本塁打を記録(9月18日現在)。40本塁打も射程圏内に入っている。
意外にも巨人の右打者において40本塁打は高い壁になっている。なにしろ長嶋茂雄、原辰徳、落合博満、清原和博、江藤智といった歴代のスラッガーたちも、この壁を超えることができなかったのである。
ちなみに長嶋は1968年の39本、原は1986年の36本が最多となっており、あとわずかで手が届くところで大台を逃している。
その高い壁を巨人の右打者で最初に超えたのは小久保裕紀である。ダイエーから無償トレードで移籍してきた2004年。巨人に加入した1年目で41本塁打を記録したのだ。小久保は巨人時代にタイトルの獲得こそなかったが、誰もなしえなかった快挙を達成したのである。
そしてもう一人、巨人の右打者で40本塁打を放った選手がいる。ラミレス(現DeNA監督)である。ラミレスは、ヤクルトを退団し巨人に加入した2008年に45本塁打を記録。さらにはその2年後の2010年に49本塁打で本塁打王を獲得している。
このように巨人では小久保とラミレスだけが、右打者による40本塁打を記録している。そして2人とも現役引退後、小久保は侍ジャパン、ラミレスはDeNAでともに監督を務めているのも興味深い。
サンプル数は少ないが、巨人の右打者による40本塁打超えを遂げた選手は、100%監督になっているのだ。はたして坂本は40本の大台に乗せ、監督へのパスポートを手に入れることができるだろうか。
巨人が久しぶりの優勝を目前に控えているなか、阪神は今シーズンも停滞している。終盤戦に入ってからは鳥谷敬の去就問題、ソラーテの電撃解雇など試合以外の話題が多くなってきた。阪神らしいといえば阪神らしいのだが……。
さて、そんな阪神が、来シーズン以降の巻き返しを図るためにはドラフトでの戦力補強は欠かせない。フロントは現時点で1位指名を公表しておらず、その方向性はわからない。しかし阪神のドラフトで注目したいのは4位以下の中位・下位指名選手にある。
高校生と大学生・社会人による分離ドラフトが終わった2009年以降、毎年のように4位以下の中位、下位指名選手から活躍選手が誕生しているのである。
今シーズンの主力を見てもそうだ。野手では糸原健斗(2016年5位)、植田海(2014年5位)、梅野隆太郎(2013年4位)、原口文仁(2009年6位)らが該当する。
一方の投手では望月惇志(2015年5位)、守屋功輝(2014年4位)、岩崎優(2013年6位)、島本浩也(2010年育成2位)、秋山拓巳(2009年4位)とこちらも多くの選手が結果を残している。
このように阪神の中位、下位指名からの成功事例は多いのである。今年のドラフトでも中位、下位で誰を指名するのか注目したい。
文=勝田聡(かつた・さとし)