2014年、右ヒジの不安から各球団が躊躇するなか、1位で指名された松本。投手陣に余裕があり、育成システムのしっかりしているソフトバンクならではの指名だった。
2015年はリハビリに徹し、昨季、実戦デビュー。3軍で15試合に登板し3勝6敗、2軍では9試合に登板し5勝1敗。9月30日には1軍に昇格し、1軍初登板も果たした。今季は1軍での登板機会が増えそうだ。
高校ナンバーワン投手の呼び声が高いなか、高3年の夏はケガに泣いた高橋純平。2015年のドラフトで3球団競合の末、ソフトバンクへ入団した。
昨季は3軍で6試合(0勝2敗)、2軍で7試合(2勝1敗)に登板。12球団のドラ1ルーキー投手では、唯一1軍での登板がなかったが、フレッシュオールスターゲームでは154キロをマーク。ソフトバンクの時期エース候補として存在感を発揮した。
2月17日の紅白戦では、このドラ1コンビがそろって先発登板。高橋は、長谷川勇也、内川聖一、吉村裕基を三者連続三振に切ってとるなど、2回を完全投球。松本も同じく、2回をパーフェクトに抑え、両者とも首脳陣に大きくアピールした。
高橋と松本が揃って先発した2日後の19日には、2016年のドラフト1位・田中正義が紅白戦に登板。2回を投げて1安打1失点という結果だった。
コントロールに不安が見えるなど、まだまだ課題は多いが、ここからピッチを上げていけば開幕1軍も見えてくる。しかし、昨年は右肩の故障に苦しめられた経緯もあるので、まずはじっくりとプロの水に慣れていってほしい。
3人とも順調にキャンプを送っているが、揃って開幕1軍入りするのは難しいといえるほど、ソフトバンク投手陣には空きがない。
昨季の実績から見れば、先発は侍ジャパンに選ばれた武田翔太と千賀滉大、最多勝の和田毅、バンデンハークまでは確定的。
そこに昨季9勝の東浜巨と7勝の中田賢一、復活を期す攝津正に松坂大輔、さらには大隣憲司、寺原隼人、岩嵜翔、山田大樹もいる。さらに昨季、2軍で結果を残した笠原大芽に石川柊太。これに田中、高橋、松本を加えると……、んっ、17人!?
「あれっ、1軍の投手って何人いればよかったんだっけ?」と、他球団のファンに聞くと、どつきまわされそうだが、ホークスファンの立場からすると先発候補の頭数が多いにこしたことはないが、複雑な気持ちになるのも確かだ。
オープン戦では3人ともさらなる登板のチャンスを与えられるだろう。そこで結果を残し、工藤監督のお眼鏡にかなうことができるか?
文=溝手孝司(みぞて・たかし)
北海道生まれ北海道育ちも、ホークスファン歴約40年。北海道日本ハムファイターズの本拠地がある札幌市在住で広告代理店を営む47歳。