打力の指標で、もっとも一般的なのは打率。どれだけヒットを放ったか、一目瞭然の数値だ。それに対し、逆に投手側からどれだけヒットを浴びているかを見るのが「被打率」となる。
ただ、ヒットを打たれてもランナーをホームまで生還させなければいいので、被打率が高いからといって貢献度が必ずしも低いとはいえないが、守っている選手やベンチ、応援するファンからすれば、打たれないに越したことはない。
今季、ヒットを浴びまくっている投手は誰なのか? セ・パそれぞれの被打率ワースト5をチェックしたい。
(成績は8月1日現在、対象は規定投球回数到達投手)
■セ・リーグ 被打率ワースト5
1位:ブキャナン(ヤクルト)/被打率.261
2位:秋山拓巳(阪神)/被打率.258
3位:小笠原慎之介(中日)/被打率.253
4位:ジョンソン(広島)/被打率.241
5位:メッセンジャー(阪神)/被打率.239
セ・リーグの被打率ワースト投手はブキャナン(ヤクルト)。被安打120は、本数でも最多となっている。序盤は低迷していたチームにおいて、5月半ばまで防御率1点台をキープし奮闘していたが、その後は打ち込まれることが増えた。特に目立ったのが、8月1日の広島戦。2回で打者17人に対して被安打9。甘く入ったカットボールをことごとくミートされ、被打率が一気に悪化してしまった。
ペナントレースを独走する広島からは、ジョンソンが被打率.241でワースト4位。元来、打たせて取る投球スタイルだけに、これはある意味、許容範囲か。昨季のシーズン通算被打率.271からすれば向上はしている。
5月18日にカーリー夫人の出産のため一時帰国・登録抹消となっていたが、戻ってきて6月9日に1軍登録されて以降は、7試合に登板し負けなしの5勝。女児が無事生まれて安心したのだろう。今後も広島投手陣の柱として、粘り強い投球を見せてくれそうだ。
なお、セ・リーグの被打率ベスト3は、1位がガルシア(中日)で.212、2位が山口俊(巨人)で.2129、3位が大瀬良大地(広島)で.2133となっている。
■パ・リーグ 被打率ワースト5】
1位:マルティネス(日本ハム)/被打率.277
2位:涌井秀章(ロッテ)/被打率.272
3位:西勇輝(オリックス)/被打率.259
4位:高梨裕稔(日本ハム)/被打率.257
5位:多和田真三郎(西武)/被打率.255
一方のパ・リーグのワースト1位も外国人投手のマルティネス(日本ハム)。7勝7敗と、なんとか踏ん張っているが、16試合の登板のうち12試合で7安打以上を打たれている(勝利投手となった7試合でも5試合が被安打7以上)。ただ、与四死球24は、4番目の少なさ。この制球力のおかげで防御率が3.65でおさまっているのだろう。
ワースト2位の涌井秀章(ロッテ)は、被安打118で打たれた本数ならリーグ最多。ロッテに加入して今季が5年目となるが、年間の被打率が.270を超えたのは2016年の一度だけ。5勝11敗と大きく負け越した昨季でも被打率は.261だった。32歳と、まだまだ老け込む年ではないので、ここからの巻き返しに期待したい。
ちなみに、被安打数が投球イニング数を上回っているのは、12球団の規定投球回数到達投手のなかでは、マルティネス(106回・被安打114)と涌井(115回2/3・被安打120)のみ。つまり、この2投手は毎イニング、ヒットを打たれている計算となる。日本ハムとロッテの守備陣は、この両投手の登板時には普段以上の集中力が必要となってきそうだ。
なお、パ・リーグの被打率ベスト3は、1位が菊池雄星(西武)で.197、2位が岸孝之(楽天)で.198、3位がバンデンハーク(ソフトバンク)で.224。菊池と岸は1割台と、相手打者を抑え込んでいる。
文=藤山剣(ふじやま・けん)