今シーズン、宮本慎也ヘッドコーチが誕生したからなのか。それとも青木宣親が復帰してレギュラーが安泰ではなくなったからなのか。バレンティンは張り切っている。
オープン戦の初戦となった2月24日の阪神戦で2本塁打を放つ絶好のスタートを切る。その後も好調を維持。走塁でも果敢に次の塁を狙う姿勢を見せるなど、首脳陣の評価も高い。結果的に13試合に出場し打率.405、6本塁打、10打点の成績を残し、オープン戦ではあるものの本塁打王に輝いた。開幕に向けて抜かりなしといったところだ。
例年のオープン戦を見ると、WBCに出場したため1試合しか出場していない昨年を除き、絶不調といえる年はない。しかし、今年はそのなかでも群を抜いている。
すでに8年目、年齢も今年の7月で34歳になるバレンティンはいわばベテランだ。新外国人選手にありがちな、オープン戦だけ調子がいいということはないだろう。この勢いがどこまで続くのか、シーズンが始まったあとも注目が集まる。
前述した通り、ラテン系の選手の多くは日本の春先が寒いからなのか、夏場以降に調子を上げてくることが多い。バレンティンも夏場に調子を上げるが、春先に不調かというとそういうわけではない。過去のオープン戦、WBCといった開幕前の実戦成績を見るとよくわかる。
来日1年目の2011年こそ打率.205と低迷したが、それでも3本塁打をマーク。以降もWBCを含めて3月の実戦で結果を出している。特に昨年はWBCで打率.615、4本塁打、12打点をマークし、大会ベストナインに選出された。唯一、故障で長期離脱した2015年にチームが優勝したのは皮肉なものだが、毎年、順調に調整ができていると言っていいだろう。
今シーズンは小川淳司監督による新体制で臨むヤクルト。青木が加わり、川端慎吾も戻ってきた。ここに昨シーズンを支えたバレンティン、山田哲人、坂口智隆が加われば、強力打線が完成する。そのなかでも、バレンティンにかかる期待は大きい。3月の好調を維持し、夏に向けてさらなる上昇カーブを描くことができるだろうか。今シーズンもバレンティンから目が離せない。
■バレンティンの開幕前の成績(オープン戦)
2011年
12試合:打率.205/3本塁打/6打点
2012年
10試合:打率.290/2本塁打/8打点
2013年
出場なし
2014年
11試合:打率.375/4本塁打/7打点
2015年
出場なし
2016年
11試合:打率.242/2本塁打/5打点
2017年
1試合:打率.000/0本塁打/0打点
2018年
13試合:打率.405/6本塁打/10打点
■バレンティンの開幕前の成績(WBC)
2013年
7試合:打率.304/0本塁打/5打点
2017年
7試合:打率.615/4本塁打/12打点
文=勝田聡(かつた・さとし)