【この記事の読みどころ】
・木内マジック炸裂! 花道を飾った常総学院が初優勝
・駒大苫小牧、北海道勢初優勝に続き、2連覇を達成!
・斎藤佑樹、田中将大の息詰まる投げ合いは、早実・斎藤に軍配!
2002年(平成14年)
――第84回大会決勝
智辯和歌山|000|010|001|2
明徳義塾 |001|200|40X|7
明徳義塾が自慢の打線で、春夏19度目の甲子園で初の全国制覇を成し遂げた。
試合は3回2死二塁で沖田浩之が右中間三塁打を放ち、明徳義塾が先制。4回には2本のソロ本塁打、7回にも4点を追加。投げてはエースの田辺佑介が被安打7、2失点で完投。4連投の疲労はありながらも、要所を抑えた。自ら本塁打を放つ活躍をみせ、高知県勢としては1964年の高知以来、38年ぶり2度目の優勝の原動力となった。
2003年(平成15年)
――第85回大会決勝
常総学院|000|300|010|4
東北 |020|000|000|2
常総学院が初の全国制覇で、今大会限りで勇退する木内幸男監督の最後の花道を飾った。
常総学院は2点を先制されたものの、4回表、大崎大二朗の三塁打などで3点を奪い逆転。東北の2年生エース・ダルビッシュ有(現レンジャーズ)に計12安打を浴びせて攻略した。
“木内マジック”が炸裂したのは投手起用だった。先発の磯部洋輝をスッパリと交代。3回無死二塁のピンチから登板した2番手の飯島秀明が、7回を無失点に抑える好投をみせた。試合終了後、甲子園では異例の「木内コール」が起きたのも印象的だった。
2004年(平成16年)
――第86回大会決勝
済美 |230|013|010|10
駒大苫小牧|102|303|31X|13
ついに雪国のハンディを克服し、北海道勢が春夏通じて初めて全国制覇! 歴史に残る決勝戦だった。
序盤は劣勢だった駒大苫小牧は、3回裏に2点、4回裏に3点を奪い、一度逆転をするも、また済美に勝ち越され、9−6とされる。6回裏に糸屋義典の2ランで済美の先発・福井優也(現広島)をKO。続く藤村昌弘も攻略して同点に追いつく。そして、7回裏に、勝負を決める3点を奪った。
両チームあわせて39安打、23得点という打撃戦を制した駒大苫小牧。この大会5試合でチーム打率.448を記録し、大会の打撃記録を塗り替えるなど、打ち勝つ野球で高校球史に残る優勝を果たしたのだった。
2005年(平成17年)
――第87回大会決勝
京都外大西|100|000|200|3
駒大苫小牧|100|011|20X|5
優勝した駒大苫小牧の香田誉士史監督が「なぜ連覇できたか、わかりません」と言うほど、誰もが予想できなかった大会であった。前年、“白河の関”を越えて、一気に青函トンネルもくぐって北海道に優勝旗をもたらした駒大苫小牧が連覇を達成。1947年、1948年の小倉以来、57年ぶりに夏の連覇を成し遂げた。
試合は同点で迎えた7回裏、辻寛人の二塁ゴロの間に勝ち越し。さらに追加点を奪い、勝利した。決勝戦こそ2失策を犯したものの、南北海道地区大会から大阪桐蔭との準決勝まで、11試合連続無失策の鉄壁の守備陣が優勝の要因。胴上げ投手は、2年生の田中将大(現ヤンキース)だった。
高校野球ファン以外でも、多くの人が覚えているだろう決勝戦だ。73年ぶり史上2校目の夏3連覇を狙う駒大苫小牧と、夏の甲子園は意外にも初優勝をかけた早稲田実業の間で行われた。8月20日の試合は互いに譲らず、1−1のまま延長15回引き分け。なんと、37年ぶりの決勝再試合が実現した。
21日に行われた再試合は早稲田実業が主導権を握る。前日の試合も含めて4連投となった斎藤佑樹(現日本ハム)は、2本塁打を浴びるも13奪三振の完投勝利。無尽蔵のスタミナをみせた。
一方の田中将大(現ヤンキース)は、前日と同様に、先発・菊地翔太の後を受けて登板。やや疲れがあったか、2回、6回、7回とタイムリーを浴びて失点。最終回に2点を返し、1点差に詰め寄るも、最後の打者・田中のバットは空を切り、早稲田実業が見事、初優勝を成し遂げた。
“がばい旋風”佐賀北が大逆転劇を演じて、初の全国制覇を達成。決勝戦では史上初となる、逆転満塁弾が試合を決めた。
0−4で迎えた8回裏、佐賀北の攻撃は1死満塁から押し出しで1点を返す。公立校が11年ぶりに決勝戦に勝ち上がってきたこともあり、球場全体が佐賀北を推すような雰囲気に。そして、続く副島浩史が奇跡の逆転満塁本塁打を叩き込むと、球場のボルテージは最高潮になった。
対照的だったのは敗れた広陵のバッテリー・野村祐輔(現広島)と小林誠司(現巨人)。8回裏、押し出しを与えた投球など、ストライクにみえたものが何度もあったが、無情にもボールの宣告。訴えかけるもの悲しげな表情が印象に残った。
2008年(平成20年)
――第90回大会決勝
大阪桐蔭|401|016|203|17
常葉菊川|000|000|000|0
大阪桐蔭が17−0で常葉学園菊川を圧倒。初出場初優勝を飾った1991年以来、17年ぶりの全国制覇を成し遂げた。
奥村翔馬の満塁弾や萩原圭悟の3試合連続弾など、決勝戦では新記録となる21安打、最多タイとなる17得点を挙げるなど、記録づくめの一戦となった。
投げてはエース・福島由登は、1998年の横浜・松坂大輔(現ソフトバンク)以来の決勝戦完封勝利をマーク。常葉学園菊川はヒジ痛をおして先発した戸狩聡希が3回まで5失点。代わった投手たちも大阪桐蔭打線を止めることができず、記録的大敗を喫してしまった。
2009年(平成21年)
――第91回大会決勝
日本文理 |011|000|115|9
中京大中京|200|006|20X|10
まさに激戦。両チーム合わせて31安打が乱れ飛ぶ決勝戦は、多くの高校野球ファンを釘付けにした。
同点で迎えた6回裏、四球を足がかりに無死満塁のチャンスを掴んだ中京大中京は、堂林翔太(現広島)のタイムリーで2点を勝ち越し。打者11人で6点を奪い、試合は決まったかにみえた。
4−10で迎えた9回表の日本文理の攻撃は、2死走者無しと敗色濃厚。しかし、ここから球史に残る怒濤の攻撃で、5点をもぎ取る日本文理。最後は三塁手正面のライナーで試合終了も、敗れた日本文理ナインの表情には充実感が溢れていた。一方、中京大中京ナインは、なんとか逃げ切った、やっと勝てた、嬉しさと安堵で涙が止まらなかった。ちなみに、中京大中京は、中京商時代の1966年、第48回大会以来の優勝となった。
★★★次回は第92回〜第97回大会の決勝戦の模様をお伝えします。
(文=編集部)