以前はクローズドで開催されていたドラフトだが、2009年からは抽選で選ばれたファンを会場に招待しての公開ドラフトが実施されている。会場は悲喜交々の大盛り上がりで毎年、贔屓球団のユニホームを着た濃厚なファンたちが中継でテレビカメラに抜かれている。
毎年、NPBの公式サイトで観覧希望者の募集が行われるが、今年は9月14日(木)の15時から9月28日(木)の23時までが応募期間。生で見たいと思う方はNPB公式サイトで詳細をチェックしてほしい。
ドラフト報道の本番は10月に入ってから。この時期はさまざまな情報が入り乱れるが、プロ側も本格的に上位指名候補を絞るのはこれから。煙に巻くような駆け引きが続く。
しかし、いち早く確定するのは選手側の意向。特に夏の大会を終えた高校生は続々とプロ志望届を提出する。9月12日時点で22名の選手がプロ志望届提出済だ。
情報は高野連のホームページで日々更新される。「プロ志望届 2017」などで検索すれば、すぐにヒットするだろう。
ドラフト好きにとっては、このプロ志望届のリストがなかなかたまらない。プレーは見たことないけど雑誌やメディアで名前を見たことのある選手、地元で鳴らした有力選手などが続々と名を連ねる。
更新とともに、新たにプロ志望届を提出した選手を片っ端からサーチし、プレー動画などを掘り起こすと「スカウト気分」が味わえる。
多くの選手はプロ側から接触があり、指名の可能性があるからこそプロ志望届を提出している。一芸を含めて高校野球界ではずば抜けた実力の持ち主ばかりで、たとえ隠し玉といえど、提出者リストのなかには逸材が潜んでいるのだ。この選手はあの球団が唾をつけているんじゃないか……など知った風な妄想をするのも大いに楽しい。
ドラフト翌日に「隠し玉」と言われている選手を「俺、そいつよく知ってるよ!」と言うことができれば、もう鞍馬天狗である。周りからはドン引きされるかも知れないが、ドラフト好きとは得てしてそういうものである。
また例年、明らかな「思い出提出」も数件あるが、それも一興。この時期になると「プロ志望届出そうかな」などとウソブキ出す野球部員がいるものだが、本当に提出する「お調子者ぶり」を発揮した勇者の名前をせめて脳裏に刻んであげたい。
文=落合初春(おちあい・もとはる)