台風の目は4位・楽天の躍進だ。夏場、めきめきと調子を上げ、8月以降の戦績はリーグ1位の16勝12敗1分、勝率.571。一時は最大15あった借金を1ケタまで圧縮し、最大13.5ゲーム引き離されていた3位とのゲーム差も、ここへきて8まで詰めることに成功している(いずれも9月5日現在)。
一方、3位・ロッテは8月17日以降、5勝11敗1分と大失速だ。唐川侑己や古谷拓哉 ら先発投手の故障離脱もあり、投壊が発生。追い打ちをかけるように正捕手・田村龍弘が急性上気道炎で登録抹消と、苦しい戦いを余儀なくされている。
彼我の状況がこのまま続けば、楽天の3年ぶりプレーオフ進出、「ミラクルイーグルス」の可能性が俄然、現実味を増す情勢になってきたのだ。
好調楽天は、まるで連夜の花火大会だ。試合を支配するホームラン攻勢が夏場の逆襲を支えている。一発で挙げた得点は、7月までは全得点の23パーセントにとどまったのが、29試合で32発を量産する8月以降は46パーセントと倍増しているのだ。
アマダーが超弾道を8発ぶちかませば、ウィーラー、ペゲーロも怪力を発揮して各5本塁打。外国人打者の打棒に触発されるように、日本人打者もバットがよく振れており、オフの肉体改造が成功した島内宏明は6本塁打を記録。
9月1日に1軍再合流したばかりの中川大志も、早くも2発を記録。9月4日のソフトバンク戦では、ソフトバンクのマジックを消す満塁弾をバックスクリーン左へと放り込み、この「首位いじめの一発」でお立ち台に立っている。
今後、楽天が「ミラクルイーグルス」を達成させるためには、パ・リーグで最も多い残り試合数がカギを握りそうだ。
3位・ロッテと比べて残り試合が5試合多い点は有利に働く一方、デメリットもある。最終戦が組まれている10月1日までの26日間で、実に23試合を戦わなければならないのだ。このタフなスケジュールは、選手のコンディション管理という点で不安を残している。
銀次やアマダーが故障離脱するなど楽天の陣容も決して万全ではない。しかし、開幕前に掲げた今季のチームスローガン「夢と感動」を目指して、再度チーム一丸となって、ラストスパートを駆け抜けてほしい。そう願っている!
文=柴川友次(しばかわ・ゆうじ)
信州在住。郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドに見える、楽天応援の野球ブロガー。各種記録や指標等で楽天の魅力や特徴、現在地を定点観測するブログを2009年から運営の傍ら、有料メルマガやネットメディアにも寄稿。