2011年ドラフト1位で入団した安達は、ルーキーイヤーから1軍でプレー。森脇浩司前監督の重用もあり、2年目以降は遊撃手のレギュラーに定着した。
4年目の昨季はチーム最多の139試合に出場。打撃は波があったものの、自身初の2ケタアーチを達成(11本塁打)。0→5→8→11本と年を追うごとに一発が増加しており、社会人時代に鳴らしたパンチ力がプロの世界でも開花しつつある。
一方の守備ではゴールデングラブ賞獲得こそならなかったものの、軽快なフットワークと正確なスローイングで球場を度々沸かせた。また、平均的な選手が守った時に比べ、守備でどれだけの失点を防いだかを示すUZR(Ultimate Zone Rating)という指標では12球団トップクラスの数値を叩き出している。
このように安達は今やチームの攻守の要、そしてリーグを代表するショートストップに成長を遂げた。それゆえ、離脱が長引くようだとチームの浮沈に直結しかねない。
もちろん安達が早期復帰できれば問題ないのだが、仮にシーズン開幕後も戦列に戻ってこられない時は代役を立てる必要がある。そこで注目したいのが、ドラフト7位ルーキーの鈴木昂平(三菱重工名古屋)だ。
鈴木はいわゆる「守備のスペシャリスト」で、『野球太郎』本誌では『金を払ってでも見たい守備(No.017ドラフト指名パーフェクト名鑑より)』と紹介されている。安達に比べると打撃面は心もとないが、こと守りに関しては戦力ダウンを食い止められる可能性を持つ。
昨シーズン遊撃を守った選手でいうと、縞田拓弥、原拓也、中島宏之が挙がる。しかし、縞田と原はユーティリティーで、中島も現状は一塁か三塁での起用が現実的。そんな中で鈴木は春季キャンプの1軍スタートが内定しており、アピール次第では更なるステップアップも夢ではない。
下位指名の社会人出身選手といえば、昨季は西野真弘(7位)と小田裕也(8位)のブレークがあった。鈴木にも彼らと同じような飛躍を望みつつ、背番号3がグラウンドに戻ってくる日を待ちたいと思う。
文=加賀一輝(かが・いっき)