各チームにとって、シーズンの命運がかかるといっても過言ではないスプリングキャンプ。果たして、理想的な「いいキャンプ」とはどのようなものであろうか?
一般的に言われているのは、以下の3要素を満たしているかどうかだ。
・目的意識を持って練習に取り組んでいるか
・無駄な時間を過ごさずに効率的かどうか
・練習が実戦を想定して行われているか
もちろん、今年のタイガースも例外ではない。
しかし、例年と違うのは、ウェートを中心にした基礎体力をつけることに、練習の重きを置いている点だ。メニューの中には、ウェートの「WT」の記号が付され、特打・特守と同じレベルで、選手ごとのその日のウェートの強化箇所まで明確に記載されている。
金本監督は昨年の秋季キャンプでも、打者には強く叩くバッティングを、投手には力強いストレートを投げることを求め続けてきた。
これに応える形で、打者では大和が、ポイントを前にして、しっかりと叩く打撃をみせて、秋季キャンプでは一躍注目の的となった。
また、2013年ドラフト1位入団の岩貞祐太も、上から叩くイメージで強い球が投げられるようになり、昨年、台湾でのウィンターリーグで投手部門のMVPを獲得した。
徐々にではあるが、確実に金本イズムが浸透しつつあることをうかがわせる。
若手だけではない。
ゴメス、メッセンジャーの両外国人は、別人とも言えるほど絞りきった体で来日し、関係者を驚かせた。1年1年が勝負の外国人選手にとっては、3年後など見据えている余裕はない。
福留孝介、藤川球児、鳥谷敬などベテランの領域に属する主力メンバーも、今年が勝負の年。実績があるとはいえ、ベテランメンバーだけでは、ペナントレースを勝ち抜くのは難しい。
金本監督の「開幕に照準を合わせるな!」は成長を期待する大部分の若手選手に対するものだ。
昨年ブレイクした、柳田悠岐(ソフトバンク)や山田哲人(ヤクルト)のような、「プロ野球を代表するような若手選手を育てたい」という、金本監督の思いが伝わってくる。
「超変革!」が、勝利という形になって結果が出るのはいつだろうか。着実に変わりつつあるタイガースに春が来るのは意外に早いのかもしれない。
文=まろ麻呂
企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。