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《2016年カープ通信簿・野手編》神っていた今シーズンの総まとめ。ライターが独断でつけた通信簿


 25年ぶりのリーグ制覇、球団史上最高勝利数など、文字通り神っていた今シーズンの広島。チームとしては最高のシーズンだったが、選手個人に目を向けた場合どうだっただろう?

 そこで、1軍出場した選手の個人成績を参考に、通信簿を独断でつけてみた。

 前回の投手編に続き、今回は野手編。広島史上最強打線と名高い1996年の「ビッグレッドマシン」の再来とも言われた、今シーズンの広島打撃陣の通信簿はいかがなものか?

※通信簿は「大変よくできました」(5)、「よくできました」(4)、「まぁまぁです」(3)、「もう少し」(2)、「頑張りましょう」(1)の5段階評価。また、引退した選手には「お疲れ様でした」。選手は背番号順に掲載、選手名の前の数字は背番号

チームを牽引した先頭打者・田中広輔に、不動のクリーンナップ・丸佳浩


■0 上本崇司
7試合:打率.000/0本塁打/0打点
通信簿:頑張りましょう(1)

 7試合に出場し、打席に立つ機会はなかった。

■2 田中広輔
143試合:打率.265/13本塁打/39打点
通信簿:よくできました(4)

 今シーズンの躍進を象徴する選手のひとり。遊撃でのフルイニング出場は球団史上3人目の偉業。CSでの驚異的な打率も記憶に新しい。

 しかし、打撃は好不調の波が大きく、失策、盗塁死など穴も多い。来シーズンは攻守に確実性が求められる。

■4 小窪哲也
69試合:打率.217/2本塁打/10打点
通信簿:頑張りましょう(1)

 選手会長としてチームをまとめた功績は大きいが、成績に関しては残念な結果に終わった。

■5 ルナ
67試合:打率.272/5本塁打/34打点
通信簿:もう少し(2)

 シーズン序盤は「つなぎの4番」として存在感を発揮したが、ケガで離脱。本来の力を出し切れなかった。

■6 梵英心
7試合:打率.000/0本塁打/0打点
通信簿:頑張りましょう(1)

 かつてのリードオフマンもケガと年齢には勝てず……。

■7 堂林翔太
47試合:打率.250/2本塁打/2打点
通信簿:頑張りましょう(1)

 2本の本塁打で2打点はあまりにも寂しい。期待値の高さ故に、厳しい評価を下されてしまうことも多く、不憫な面もある……。

■9 丸佳浩
143試合:打率.291/20本塁打/90打点
通信簿:大変よくできました(5)

 今シーズンは好成績を挙げたが、それでも、まだ過小評価されていると思ってしまう選手。出塁率.389を始め、打率、打点、本塁打の3部門以外も軒並み好結果。数値化されない守備の面での貢献も高い。数字以上の働きを見せた。丸なくして優勝はなかった。そう断言できる。

■10 岩本貴裕
27試合:打率.333/0本塁打/5打点
通信簿:頑張りましょう(1)

 期待の和製大砲だが、なかなか殻を破ることができない。本塁打ゼロに終わりいよいよ正念場。

MVP・新井貴浩、最多安打・菊池涼介、ベストナイン・石原慶幸らがタイトル!


■25 新井貴浩
132試合:打率.300/19本塁打/101打点
通信簿:大変よくできました(5)

 40歳にしてかつての輝きを取り戻した。また、2000本安打、300号本塁打の金字塔を打ち立てるなどメモリアルなシーズンとなった。最終的にはMVPも獲得。紆余曲折を経て、最良の1年となった。

■26 廣瀬純
1試合:打率.000/0本塁打/0打点
通信簿:お疲れ様でした

 今シーズン限りで引退。セレモニーでのスピーチは感動的だった。あの華麗な守備をまだ見たかった……。

■27 會澤翼
83試合:打率.239/7本塁打/26打点
通信簿:まぁまぁです(3)

 今シーズンもレギュラー獲得には至らず。しかし、満塁弾を放つなど、持ち前の打撃を随所で見せた。出場数が83試合での7本塁打は、長打力をアピールするには十分の数字だ。課題の守備も安定感を増している。来季は期待したい。

■31 石原慶幸
106試合:打率.202/0本塁打/17打点
通信簿:まぁまぁです(3)

 打撃成績はキャリア最低に近いものだったが、守備面での活躍が評価され、ゴールデン・グラブ賞、ベストナインを獲得。結果としてベストのシーズンとなった。安定感のある守備は投手陣からの信頼が厚く、課題の打撃もシーズン後半だけ見れば3割近くは打っている。来季も正捕手の座は揺るぎない。

■32 白濱裕太
1試合:打率.000/0本塁打/0打点
通信簿:頑張りましょう(1)

地元出身のドラフト1位もいよいよ厳しい立場に追い込まれた。

■33 菊池涼介
141試合:打率.315/13本塁打/56打点
通信簿:大変よくできました(5)

 2年ぶりの打率3割に到達。185安打はリーグ最多。昨シーズンの打撃不振を脱却した。


 打撃もさることながら、菊池の最大の魅力は超人的な守備にある。今シーズンもその守備力は健在で、好プレーを連発。攻守で大活躍した。菊池のおかげで勝てた試合は何試合あるのだろうか? 貢献度は計りしれない。

■35 下水流昴
48試合:打率.250/5本塁打/18打点
通信簿:まぁまぁです(3)

 「88年世代」の秘密兵器がついにブレイク。ツボにはまった時の長打は眼を見張る。

■37 野間峻祥
21試合:打率.292/0本塁打/1打点
通信簿:もう少し(2)

 シーズン序盤に不振で2軍落ち。9月に1軍復帰した後は見違えるほどの打棒を披露。「隙あらば野間」と揶揄された状況からの脱却に成功した。

■38 赤松真人
89試合:打率.368/0本塁打/3打点
通信簿:よくできました(4)
 ハイライトは、11連勝のきっかけを作った6月14日の西武戦でのサヨナラ打。守備走塁の安定感は抜群で、チームになくてはならない戦力であることを再確認した。

■40 倉義和
1試合:打率.000/0本塁打/0打点
通信簿:お疲れ様でした

 雨天コールドとなったが、最後に黒田博樹とバッテリーを組んだことはファンにも本人にもよき思い出となった。

■43 土生翔平
5試合:打率.125/0本塁打/0打点
通信簿:頑張りましょう(1)

 遂に1軍デビューを果たしたが、爪痕は残せなかった…。

■44 松山竜平
103試合:打率.291/10本塁打/41打点
通信簿:よくできました(4)

 新井貴浩、エルドレッドなどの「代役4番打者」として大活躍。絶妙なバットコントロールと、長打力はチーム屈指。コミカルなキャラクターでも愛されている。来シーズンこそは代役ではなく真の4番打者を目指したい。

■49 天谷宗一郎
55試合:打率.175/1本塁打/8打点
通信簿:もう少し(2)

 開幕1軍に奮起し、サヨナラ打を放つなど序盤は活躍する。しかし、後半は出番を失った。


今シーズンの象徴「神ってる」鈴木誠也


■51 鈴木誠也
129試合:打率.335/29本塁打/95打点
通信簿:大変よくできました(5)

 鈴木なくして、今シーズンの広島は語れない。記憶にも記録にも残る6月の2試合連続のサヨナラ弾、リーグ優勝決定試合での連発弾など、文字通り「神ってる」大活躍を見せてくれた。

 打撃のみならず、守備でもゴールデン・グラブを受賞するなど走攻守で魅せた。ニューヒーローの出現にファンは歓喜した。

■52 庄司隼人
3試合:打率.000/0本塁打/0打点
通信簿:頑張りましょう(1)

 野球センスの高さは折り紙つきだが、ライバルを押しのけるほどのアピールができなかった。

■54 船越涼太
1試合:打率.000/0本塁打/0打点
通信簿:もう少し(2)

 ロッテの伊東勤監督からも高い評価を受けた次世代の正捕手候補。初安打を放ったが、その後はケガに泣いた。

■55 エルドレッド
95試合:打率.294/21本塁打/53打点
通信簿:まぁまぁです(3)

 シーズン序盤の大爆発はチームに勢いをつけた。定期的に陥る大不振と、ケガは最早想定内!? だが、当たればホームランという長打力はとてつもない魅力がある。打線にエルドレッドがいるだけで相手投手に与える威圧感は計りしれない。

■60 安部友裕
115試合:打率.282/6本塁打/33打点
通信簿:よくできました(4)

 期待のドラ1がついに開花。ルナの負傷でチャンスを掴むと、115試合に出場。チームの主力へと成長した。同世代の田中、菊池、丸、野村とともに「89年(やきゅう)世代」を大いにアピールした。

■61 磯村嘉孝
24試合:打率.161/0本塁打/2打点
通信簿:まぁまぁです(3)

 年間を通して1軍に帯同。初打点も挙げた。かつてない経験をし、自身の成長へと繋がるシーズンだった。

■63 西川龍馬
62試合:打率.294/0本塁打/3打点
通信簿:よくできました(3)

 初安打が三塁打という衝撃のデビュー、日本シリーズでも安打を放つなど、ルーキーながら確かな存在感を示した。天才的なバットコントロールを見せ、将来的に首位打者を狙える逸材との評価もある。同世代の鈴木誠也とともに、今後の広島を背負って立ってほしい。


 チーム打率.272、チーム本塁打153本はいずれもリーグ1位。伝説の1996年の「ビッグレッドマシン」打線と比べると、数字面でやや劣るものの、質では遜色ない。いや、優勝をもたらしたので、やや上と見てもよいのではないだろうか?

 2016年シーズンの広島野手陣は、全体では「大変よくできました」といえるだろう。


文=井上智博(いのうえ・ともひろ)

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