新型コロナウイルスに揺れる日本列島。未曾有の大騒動にプロ野球界も飲み込まれ、選手が感染したこともあり開幕の延期延期を余儀なくされている。明日も見えない事態だが、そんなときこそファンは野球から元気や勇気をもらいたいもの。
とはいえ実際の試合は見られないので、今回は筆者が思う野球映画の名作を紹介したい。
『マネーボール』(2011年)
ドラフト1巡目指名を受けながら鳴かず飛ばずの選手人生を送ったビリー・ビーン(ブラッド・ピット)が、ゼネラルマネージャーとして名を挙げていく物語。
GMやセイバーメトリクスという近代の野球に欠かせない要素が表に出てきたという面で、エポックメイキングな作品に。データ好きな筆者も大きな影響を受け、当時の選手のOPSを調べまくった思い出がある。
ちなみにアメリカの映画評論サイトでも高い評価を得ていたが、アカデミー賞は6部門でノミネートされたものの、残念ながら受賞には至らなかった。
『42 〜世界を変えた男〜』(2013年)
アフリカ系アメリカ人初のメジャーリーガーとなったジャッキー・ロビンソンの伝記映画。ロビンソンが入団した1940年代は今以上に人種差別が激しくチームメイトすら敵のような状態だったが、ひたむきなプレーで人々の心を動かしていくヒューマンドラマだ。
タイトルにある「42」はロビンソンの背番号で、彼の功績を讃えて現在のアメリカとカナダの野球チームでは永久欠番になっている。
日本では助っ人外国人の背番号というイメージだが、アメリカでは背負いたくても背負えなかった背番号ということから、空いていたら我先にリクエストされるそうだ。
『メジャーリーグ2』(1994年)
やや古い作品になるが、これは外せないと思わせるのが『メジャーリーグ』シリーズ。なかでも筆者的には第2作に惹かれる。なぜなら日本人が出演しているからだ。
それは、とんねるずの石橋貴明。石橋はタカ・タナカという助っ人に扮して登場するのだが、頭でバットを真っ二つにするなどスクリーンのなかで大暴れ。当時小学生だった筆者にとっては、あまりにも衝撃が大きく、今も忘れられないシーンとなっている。
近年の石橋は人気スポーツバラエティ番組『とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』内の人気コーナー「リアル野球盤」でプロ野球選手との対戦を謳歌しているが、かつて(映画の世界とはいえ)メジャーを沸かせた選手が余生を楽しんでいると考えると、また違った味わいがある。
あまたある野球の映画。すべてを網羅できているわけではないので、筆者もこの機会にまだ観ていない作品を観てみようと思う。
『ROOKIES 〜卒業〜』や『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』は観たが、主題的に野球映画のくくりに入れていいものか…というところもあるので割愛した。
文=森田真悟(もりた・しんご)